異世界創造NOSYUYO トビラ

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4章   禍 つ 者    『魔王様と愉快な?八逆星』

冒険の書の確認 これまでのあらすじ② 

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■冒険の書の確認■  間幕復習②

 新型ゲーム機のテストプレイヤー兼デバッカーとして雇われた俺達は、自他ともに認める重度のゲーマーだ。
 そんな俺達が早速送り込まれた世界は、現実なのか仮想なのかを思わず取り違えそうになる程に『リアル』な『異世界』だった。

 ここまでは良いよな?ここ、重要な所だから惑わされずに着いて来いよ?
 騙されてもいいんだが、騙されてもいいのは実際異世界にトんでる俺達の脳であって、この冒険の書を読んでる皆様方では無い。
 うむ、重要なポイントだ。

 さてさて、章の終わりと始まりの間、復習の時間ですぜ。
 俺の脳内整理にちょっと付き合って頂こう。もちろん、そんなメンドーな事はいらんという方は飛ばしてしまっても結構。
 さ、冒険の書の確認を行おう。
 前章は色々とややこしい事情が絡まってるからな!


 大陸座ナーイアストから、なんだかよく分からないが透明な結晶体を貰った俺達。クリスタルと呼ぶに呼べない事情を察してくれ、そんなわけでアレは『石』呼ばわりだ。
 まぁなんだ、ほら……制作会社の違いとか何とか。
 とにかく『これ』を大陸座からの『お印』として大活用しながらレッドの嘘八百技能が炸裂、助けてくれた恩人のユーステル女王とキリュウ相手にテキトーな事を言いつつ、俺達は西の大陸を目指す事になった。
 何やら色々裏事情のありそうな、女王と従者とその兄の関係なんかを聞かされつつ。
 つい仲良くなった事に油断していたら、インティとか言う新手の魔王八逆星の襲撃にあっけなく女王が攫われてしまった!

 凹んだね、なぜ攫われていったのが彼女なのか意味が分からない。その仕打ちが、俺達の所為の様な気がしてさ……。

 そんな訳で自然と女王奪還を目的とし、俺達は久しぶりの大地を踏みしめた。
 温泉イベントに病気イベントまで絡んでみたり、謎のシーラーが出て来たり、ライバルパーティーはやっぱり嫌な奴だったり。
 怒涛のようなイベント連打を乗り越えて、情報屋のAWL船長のミンと再会した俺達。
 目指すは南国、キリュウから貰った手紙の上の正常なイベントシステム『グリーンフラグ』が導く通りに、戦争勃発雰囲気の燻る三国境界を駆け抜ける。

 謎の石の役目が赤旗=魔王の存在を示すものだとようやく分かり、同時にレッドフラグのホストとやらの存在が明らかになった。
 増殖するバグプログラム?
 その可能性に、一面に赤旗のはためく敵国の様子を想像して思わず慄いてしまう俺達。

 赤旗修正デバイスの投入が近いとメージンから齎された朗報に、思わず待ちに逃げてた俺。それを叱咤するアベルからの一喝。
 そうだ、最悪な事を考えて逃げてたって状況は好転しない。
 世界を救い、魔王を倒し、デバッカーとしてレッドフラグを世界から排除するために俺達は、突き進まなければ行けないんだ。
 だが俺は、出来るデバック作業が『赤旗保持者抹殺』という手段だけだって事に今更気がついたみたいだった。
 レッドフラグがついたものは、全て『悪』で全て『バグ』だという訳じゃないのは当初から分かっているはずなのに。例えばあのおとなしいはずの黒亀が、赤旗の所為で凶暴なモンスターに変わってしまった事実。気が付けば排除する事でのみ、バグを正してきた俺達がいる。
 それが唯一の救いだなんてそんなシナリオは正直嫌だ、救われない。
 誰かを殺し、何かが死ぬ事で進むシナリオはクソ喰らえだぜ、そう思うだろ?

 リアルにイベントに触れてしまう分、お涙頂戴になりかねないストーリー展開は想像するだけで身の毛もよだつ。
 そのシナリオは、バーチャルだから容認できている。
 現実直面してみろ、この辛さは涙でなんか釣り合わねぇ。
 ましてや、流す涙は何だ?

 感動な訳ねぇだろうが。

 そんな展開の不安を抱えつつ、俺達は南国カルケードの城へ無事到着。
 ここにユーステルがいるはずなんだ。攫った張本人、インティが怪しく俺達に接近して来たが、だからってここまで来たら後には引けない。
 ブラックフラグの付いた鍵束を手に、俺達は夜のお城へ大侵入します!

 勇者にあるまじき行動とかそこ、指差すんじゃありませんはしたない!
 俺達はアレだ、正義的な怪盗って奴だ。今宵、なんとしても女王をイタダキに参上します、ってな!
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