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51~60話

私の番【上】 ※

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 隠された口元の上から、紅く染まった目元だけが覗いている。いつもとは反対の珍しい光景だ。

「たっするのは……いいこと、ですか?」

「ああ、すごく嬉しい。『達する』というのは快感の絶頂に至ることで……、そうだな……俺が精を吐き出すのと同じような状態だ」

「なるほど」

 雄芯のない私からは何も飛び出さないものの、ヨルグのように『達する』ことができたらしい。

 ヨルグに触れられるたびにビクビクと身体が跳ねるものだから、これではほぐすどころか余計に力が籠ってしまって逆効果ではないかと思っていた。
 しかし『達し』終えた今、身構えていたのが嘘のように全身ぐったりとして力が入らない。これが『ほぐれた状態』ということ……!

 それなら、次にすべきことは一つ。

「私の番も頑張りますね。んしょっ……」

「リズのとは?」

 力の入らない身体を起こそうとモソモソ奮闘していると、ヨルグが腕を回して上体を支え起こしてくれた。

「私がヨルグさんをほぐす番です」

「ほぐす……?」

 たくましい腕に掴まりながら、不思議そうに目を瞬くヨルグを見上げる。
 ヨルグが教えてくれたことなのに、どうしてわかっていない様子なのだろう? 私にはできないと思っているのだろうか?

「ヨルグさんがしてくれたみたいに、私も頑張ってを舐めますから!」

 要は、『舌と指』を使ってこのガチガチに張り詰めた雄芯を『ほぐれた状態』にすればいいのだろう。このままの大きさでは到底私に挿入はいるとも思えないし、今にも破裂しそうで心配だったのだ。
 伝わりやすいように、ンベッと舌を出して見せる。

「なっ――――ぅぐっ!」

 ビュクッッッ

 あご下から胸にかけて、ビュルビュルと温かなものがかかる。
 何が起こったのかわからずに「えっ?」と下を確認したせいで、顔面にまで浴びてしまった。

 破裂した……。
 いや、噴火した?

 かかった白濁がドロリと流れ落ち、青臭いにおいが立ち込める。やっぱり先ほど感じたのは精液のにおいだったのだ。

 まだ『ほぐし』はじめる前だというのに、突然どうしてしまったのだろう?
 しかし精を放ったということはつまり、張り詰める前の状態に戻ったはずで。

「えっと……ほぐれました?」

「リズ………………」

 真っ赤な顔をしたヨルグに涙目で睨まれる。

 どうやら何かを間違えたらしい。
 いつもなら元通りになってるはずの雄芯も、まだしっかりと上を向いたままだった。
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