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41~50話

いつもの夜の【中】

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 飲み下しきれない唾液が首筋へと伝う。ヨルグの舌が追うように唇を離れ、ぬるーっと私の首筋を舐め上げた。

「っ、ヨルグさ……っ!」

 ヨルグの顔があっては首をすくめることもできず、騎士服の胸元を握りしめてふるりと睫毛を震わせる。

「――!!?」

 瞬間、両肩を掴んでベリッと上体を引き離された。

「へ……?」

 私も驚いたけれど、ヨルグ本人も愕然とした様子であんぐりと口を開いている。
 そしてその唇は――おそらく私も――どちらのものともつかない唾液でつやつやと濡れていた。

「……? はぁ、はぁ……」

 呼吸を整えながらぼんやりと、赤く染まっていくヨルグの首筋を見つめる。顔の下半分も赤いなので、きっと前髪の下まで赤くなっているのだろう。
 はくはくと数度口を開閉し、ようやくヨルグが声を発した。

「――――すっ」

「す?」

 す……『好きだ』、とか?

「すまないっ!!」

「……んん?」

 未だぼんやりとかすみがかった頭で考える。
 私は何か、謝られるようなことをされただろうか?

「……謝るなら、脚の上に乗っかっちゃってる私のほうじゃないですか……?」

 ずっと上に座っていては重たいだろう。しかしヨルグに両肩を掴まれていて立ち上がれないのだ。
 そして今なおお尻の下に感じる『硬さ』が剣の柄だった場合、騎士の命ともいうべき剣をお尻の下敷きにしていることになる。そちらは謝って赦されるものではなさそうな気がするけれど……ヨルグにいきなり抱き寄せられたせいでもあるので、どうか見逃してほしい。

 とりあえず敷いているものの正体を確かめようとモゾモゾお尻をずらすと、下着越しの秘部にグリグリと『硬さ』が擦れた。

「っ――リズっ! もう眠いだろう! 寝室へ案内する!!」

 ももに乗っていた私を抱え、ヨルグが勢いよく立ち上がった。落とされないよう、私も咄嗟に首にしがみつく。

「……お風呂、冷めちゃいますよ?」

「むしろ水を浴びるくらいでいい」

「えっ、水を?」

「ああ、っいや、違う。リズを寝室に案内したらすぐに風呂に向かうから問題ない」

「それならいいですけど……」

 ヨルグはなぜか私を抱き上げたまま居間を出て細い階段を上がり、寝室へと運んでくれた。
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