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101~最終話
105b、エピローグ 愛がわかったそのあとに
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愛おしそうに私の全身を眺めるガルに釣られて身体へと視線を落とす。
ただでさえシワだらけのドレスに、今は茶色く土汚れまでもが付着していた。
教会の建物を出た所でご機嫌なウルに元気よく飛びつかれ、大きく尻尾を振りながらベロンベロンと盛大にお祝いされたのだ。
ウィルドは慌てて止めようとしてくれたけど、私が断った。
貴重な友人からのお祝いを全身で受け止めながら喜びを噛みしめ、「ガリュースをよろしくな」と言うウィルドの言葉へも、しっかりと頷きを返した。
ウィルドからの抱擁はガルに阻止されていたけれど。
「すっかりぐちゃぐちゃになっちゃいましたね」
「ああ。だが、世界一美しい花嫁だ」
喜色を湛えた眼差し。
真面目なガルらしい、真剣な言葉。
私だけじゃない。ガルも心から今日の日を喜んでくれていることが伝わってくる。
「ガル様……」
「もうその呼び方はおかしくないか?」
「? 呼び方……ですか?」
何かおかしいことがあっただろうかと首を傾げる。
「夫婦になったんだ。夫に敬称などいらないだろう」
「!」
ガルの言葉にようやく実感が湧いてくる。
目の前の、この、誰よりも大好きな人が……私の『夫』。
生涯私だけを愛すると誓ってくれた、私だけのたった一人。
嬉しさと恥ずかしさと愛しさが綯交ぜになってむくむくと膨らんでいく。
駆け回りたいような叫びだしたいような衝動が込み上げて、押さえ込むように両手でぎゅむっと顔を覆った。
ただでさえシワだらけのドレスに、今は茶色く土汚れまでもが付着していた。
教会の建物を出た所でご機嫌なウルに元気よく飛びつかれ、大きく尻尾を振りながらベロンベロンと盛大にお祝いされたのだ。
ウィルドは慌てて止めようとしてくれたけど、私が断った。
貴重な友人からのお祝いを全身で受け止めながら喜びを噛みしめ、「ガリュースをよろしくな」と言うウィルドの言葉へも、しっかりと頷きを返した。
ウィルドからの抱擁はガルに阻止されていたけれど。
「すっかりぐちゃぐちゃになっちゃいましたね」
「ああ。だが、世界一美しい花嫁だ」
喜色を湛えた眼差し。
真面目なガルらしい、真剣な言葉。
私だけじゃない。ガルも心から今日の日を喜んでくれていることが伝わってくる。
「ガル様……」
「もうその呼び方はおかしくないか?」
「? 呼び方……ですか?」
何かおかしいことがあっただろうかと首を傾げる。
「夫婦になったんだ。夫に敬称などいらないだろう」
「!」
ガルの言葉にようやく実感が湧いてくる。
目の前の、この、誰よりも大好きな人が……私の『夫』。
生涯私だけを愛すると誓ってくれた、私だけのたった一人。
嬉しさと恥ずかしさと愛しさが綯交ぜになってむくむくと膨らんでいく。
駆け回りたいような叫びだしたいような衝動が込み上げて、押さえ込むように両手でぎゅむっと顔を覆った。
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