292 / 486
61~70話
69c、私は対処法をわかっていない
しおりを挟む
呼び鈴に応じて訪れたメイド長に生理用品が欲しいと頼めば、備えがないことを詫びた後、人を使いにやると言って一時間ほどで必要なものを揃えてくれた。
「こちらをご使用ください」
そう言って手渡されたバスケットには、紐パンのような物が数枚とハンカチサイズの厚手の布が沢山に、ペン軸より少し太く長い程度の木の棒が一本。
紐パンは下着だとわかる。布もおおよそ用途は想像がつくが……棒?
受け取ったバスケットを抱えきょとんと目を瞬く私に、見かねたメイド長が詳しく説明をしてくれた。
「こちらの下着は、紐を腰の左右で結ぶようにして身につけます。この布は畳んで下着の上に乗せ、陰部に当てるための物です」
「……この棒は?」
メイド長は棒を取り上げると、先端を覆うようにぐるぐると布を一枚巻き付ける。
「このように巻いた布を、陰部の奥へ押し込むのに使います。沢山動く時などは、布を当てただけでは下着から落ちてしまうこともありますので」
「なるほど……」
大胆な使い道に目を丸くする私の手に、メイド長がそっと手を重ねた。
「……マヤ様。月の障りは病気や怪我などではなく、すべての女性に訪れることなのです。突然の出血にご不安もありましょうが、どうかご安心なさってください」
向けられた眼差しの真摯な優しさに、本当に私のことを案じて言ってくれているのだと、じわりと心が温かくなる。
……しかし、これだけは伝えておく必要があるだろう。
「こちらをご使用ください」
そう言って手渡されたバスケットには、紐パンのような物が数枚とハンカチサイズの厚手の布が沢山に、ペン軸より少し太く長い程度の木の棒が一本。
紐パンは下着だとわかる。布もおおよそ用途は想像がつくが……棒?
受け取ったバスケットを抱えきょとんと目を瞬く私に、見かねたメイド長が詳しく説明をしてくれた。
「こちらの下着は、紐を腰の左右で結ぶようにして身につけます。この布は畳んで下着の上に乗せ、陰部に当てるための物です」
「……この棒は?」
メイド長は棒を取り上げると、先端を覆うようにぐるぐると布を一枚巻き付ける。
「このように巻いた布を、陰部の奥へ押し込むのに使います。沢山動く時などは、布を当てただけでは下着から落ちてしまうこともありますので」
「なるほど……」
大胆な使い道に目を丸くする私の手に、メイド長がそっと手を重ねた。
「……マヤ様。月の障りは病気や怪我などではなく、すべての女性に訪れることなのです。突然の出血にご不安もありましょうが、どうかご安心なさってください」
向けられた眼差しの真摯な優しさに、本当に私のことを案じて言ってくれているのだと、じわりと心が温かくなる。
……しかし、これだけは伝えておく必要があるだろう。
21
お気に入りに追加
3,293
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。


【完結】呪いを解いて欲しいとお願いしただけなのに、なぜか超絶美形の魔術師に溺愛されました!
藤原ライラ
恋愛
ルイーゼ=アーベントロートはとある国の末の王女。複雑な呪いにかかっており、訳あって離宮で暮らしている。
ある日、彼女は不思議な夢を見る。それは、とても美しい男が女を抱いている夢だった。その夜、夢で見た通りの男はルイーゼの目の前に現れ、自分は魔術師のハーディだと名乗る。咄嗟に呪いを解いてと頼むルイーゼだったが、魔術師はタダでは願いを叶えてはくれない。当然のようにハーディは対価を要求してくるのだった。
解呪の過程でハーディに恋心を抱くルイーゼだったが、呪いが解けてしまえばもう彼に会うことはできないかもしれないと思い悩み……。
「君は、おれに、一体何をくれる?」
呪いを解く代わりにハーディが求める対価とは?
強情な王女とちょっと性悪な魔術師のお話。
※ほぼ同じ内容で別タイトルのものをムーンライトノベルズにも掲載しています※
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです
白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。
ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。
「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」
ある日、アリシアは見てしまう。
夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを!
「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」
「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」
夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。
自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。
ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。
※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。
なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。
普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。
それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。
そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる