ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

５１～６０話

５４d、ご主人様は私の想いをわかっていなかった

マヤは深く息を吸うと、決意のこもった眼差しで俺を見つめ、口を開いた。

「ガル様の側に、いたいです。ずっと……」

「マヤ……」

ああ、これは現実だろうか。
マヤがマヤ自身の意思で、俺の元にいることを望んでくれるなんて。

触れればたちまちパチンと弾けて消える幻ではないかと、恐る恐るマヤの手に触れる。
胸元で固く握りしめられた左手を恭うやうやしくすくい取れば、手には確かにマヤの温もりがあった。

「この先何があろうと、俺の持てるすべてを懸けてマヤを守り抜くと誓う。だからどうか……俺と、一生を共にしてくれ」

真っ直ぐにマヤの瞳を見つめる。
この言葉が嘘偽りのない本心だと伝えるために。

「はい……。ずっと、側にいさせてください」

マヤも真っ直ぐに俺の瞳を見返し、こっくりと頷いた。
打ち震えそうになる手を叱咤して、マヤの薬指へと慎重に指輪を嵌める。

マヤの細く白い指に、俺の瞳の色をした石が輝いた。

込み上げる喜びにじっとなどしていられず掴んだままの手をぐいと引くと、バランスを崩したマヤを胸に受け止め、背中からソファに倒れ込んでぎゅうと抱きしめた。

「マヤ、マヤ、マヤ！　これで俺のものだ！　もう決して放しはしない」

「んぐぅ……」

俺のものだ。
俺のものだ。
生まれて初めて心の底から欲した何よりも愛しい存在が、自らの意思で俺のものとなった。
こんな喜びがあるだろうか。
こんな幸せがあるだろうか。

すっぽりと収まるこの小さな温もりを、永遠にこの腕に抱いていられるなんて。