ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

２１～３０話

２６b、私はご主人様の行動をわかっていない

窓の外がとっぷりと暗くなった頃、廊下を駆けてくる足音が聞こえた。

急いでソファから跳ね起き、ドアの方へ駆け寄る。

バタンッ

「マヤっ」

「ガル様！　おかえりなさい」

「ああ、ただいま」

抱き上げられ口付けを受ければ、言いようのない安心感と幸福感が全身を包んだ。

「ん？　マヤはまだ夕食を食べてないのか」

ガルがローテーブルの上に置かれたままの食事に気付く。

「あ、えっと、ガル様と……」

ガルと一緒に食事をとりたくて、食事をせずに待っていれば少しでも早くガルが帰って来てくれるような気がして、ついついそのまま食べずに置いてしまった。

「俺を待っていてくれたのか？　ああ、本当に……」

後半の呟きはよく聞き取れなかったけれど、ガルが嬉しそうにもう一度口付けをくれたので私も嬉しい気持ちになる。

「マヤ、腹が空いている所悪いが、先に大事な話を聞いてくれるか？」

『実は恋人ができたんだ。もう愛玩奴隷は不要だから、この屋敷から出て行って欲しい』

……

自分の想像が余りにもリアルで、一瞬どこまでが現実だかわからなくなった。

同じ台詞を改めてガルの口から言い渡されるのが恐ろしく、今すぐ両手で耳を塞ぎたい衝動に駆られる。



ガルは抱き上げた私をソファに下ろすと、自身も隣に座って私の方に向き直った。

今までは、どこへ行っても必ず私を抱きかかえたまま座っていたのに。
下ろされてしまった……。