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11~20話
14a、私は質問の意味をわかっていない
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例のごとく、転移魔法によって一瞬でフェンベックの家の前だ。
うーん、景色の変化に気持ちがついて行かない。
来客があると伝えられ待ち構えていたのだろう、門前にいた使用人にガルが剥き出しのワインを手渡す。
案内されて屋敷の前まで行くと、玄関ポーチでフェンベックが出迎えてくれた。
「よう! 遅かったな」
「ちょっと手間取ってな」
原因は言わずもがな、私の髪結いである。
「……あ、あの、本日はお招きいただきありがとうございますっ」
一度下に下ろしてもらおうとガルの腕を押したり袖を引っぱったりしてみたがビクともせず、仕方なく私はガルの腕の上から精一杯頭を下げた。
「いえいえ。ようこそ我が家へ、小さなレディ」
フェンベックはわざとらしく大仰にお辞儀をして見せると、顔を上げてニヤッと笑った。
緊張で固まった私を和ませようとしてくれたのだろう。
その瞳にも態度にも蔑みの色が見えないことに、私もホッと緊張を解いた。
「ウルは庭で遊ばせてるんだ。そこでお茶にしよう」
フェンベックの案内に続いて庭へ回ると、そこには周囲を花壇に囲まれた一面の芝生が広がっていた。
ガルが芝生を見て首を傾げる。
「以前と変わってないか?」
「そう! ウルが遊べるように庭を改良したんだ!」
「……庭師は泣いたろうな」
ガルの口振りからするに、以前は一面花壇だったのかもしれない。
フェンベックが芝生へ足を踏み入れると、向こうから白っぽい子犬が駆けてきた。
いや、子犬……? それにしては大きいような……。
顔付きのあどけなさから幼い事はわかるものの、すでに中型犬ほどの大きさがある。
人もみんな背が高いし、ここでは犬も大きいのだろうか。
うーん、景色の変化に気持ちがついて行かない。
来客があると伝えられ待ち構えていたのだろう、門前にいた使用人にガルが剥き出しのワインを手渡す。
案内されて屋敷の前まで行くと、玄関ポーチでフェンベックが出迎えてくれた。
「よう! 遅かったな」
「ちょっと手間取ってな」
原因は言わずもがな、私の髪結いである。
「……あ、あの、本日はお招きいただきありがとうございますっ」
一度下に下ろしてもらおうとガルの腕を押したり袖を引っぱったりしてみたがビクともせず、仕方なく私はガルの腕の上から精一杯頭を下げた。
「いえいえ。ようこそ我が家へ、小さなレディ」
フェンベックはわざとらしく大仰にお辞儀をして見せると、顔を上げてニヤッと笑った。
緊張で固まった私を和ませようとしてくれたのだろう。
その瞳にも態度にも蔑みの色が見えないことに、私もホッと緊張を解いた。
「ウルは庭で遊ばせてるんだ。そこでお茶にしよう」
フェンベックの案内に続いて庭へ回ると、そこには周囲を花壇に囲まれた一面の芝生が広がっていた。
ガルが芝生を見て首を傾げる。
「以前と変わってないか?」
「そう! ウルが遊べるように庭を改良したんだ!」
「……庭師は泣いたろうな」
ガルの口振りからするに、以前は一面花壇だったのかもしれない。
フェンベックが芝生へ足を踏み入れると、向こうから白っぽい子犬が駆けてきた。
いや、子犬……? それにしては大きいような……。
顔付きのあどけなさから幼い事はわかるものの、すでに中型犬ほどの大きさがある。
人もみんな背が高いし、ここでは犬も大きいのだろうか。
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