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1~10話
5d、私は水瓶の用途をわかっていない
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その後、使用人用とは思えない綺麗なトイレへ案内してくれたガルと「本当に一人でできるのか?」「大丈夫と言ったら大丈夫です!」との問答を経て、便座の穴に落ちそうになりながらも用を足しやっとひと心地着く。
トイレから出るとすぐ目の前にガルが立っていて驚いたけれど、言われてみれば同じ様な扉がズラリと並び、私はガルの部屋への帰り道もわからないのだった。
「食事を終えたら庭を散歩してみないか?」
「んぐっ、はい! 行きたいです!」
ガルに詰め込まれたフルーツを急いで飲み込んで答える。
異世界に来てからと言うもの、馬車や檻に押し込められ通しでほとんど外に出ていない。
この屋敷の庭は初日に一瞬チラリと見ただけだが、様々な花が咲いていてのんびりと散歩したら気持ちよさそうだった。
「服も用意してみたんだが、着てくれるだろうか?」
「はい、ありがとうございます」
私はありがたい申し出に素直に頷いた。
「髪用の香油も調達したんだが、使っても平気か? もちろん香りは強すぎない物を選んだが」
ガルは高い鼻先を私の髪に埋めてスンスンと鼻を鳴らしている。
「? はい、ありがとうございます」
香りの強さなんて妙な事を気にするものだ。
それでも、こうやって私の意思を確認してくれるのが嬉しい。
お金で買われ首輪の熱で縛られ、結局のところどんなに嫌な事だろうと最終的には従うしかないと言うのに。
すっかり定位置になったガルの腿の上で手渡されたグラスの水を飲むと、オレンジのようなスッキリとした甘みが口に広がった。
トイレから出るとすぐ目の前にガルが立っていて驚いたけれど、言われてみれば同じ様な扉がズラリと並び、私はガルの部屋への帰り道もわからないのだった。
「食事を終えたら庭を散歩してみないか?」
「んぐっ、はい! 行きたいです!」
ガルに詰め込まれたフルーツを急いで飲み込んで答える。
異世界に来てからと言うもの、馬車や檻に押し込められ通しでほとんど外に出ていない。
この屋敷の庭は初日に一瞬チラリと見ただけだが、様々な花が咲いていてのんびりと散歩したら気持ちよさそうだった。
「服も用意してみたんだが、着てくれるだろうか?」
「はい、ありがとうございます」
私はありがたい申し出に素直に頷いた。
「髪用の香油も調達したんだが、使っても平気か? もちろん香りは強すぎない物を選んだが」
ガルは高い鼻先を私の髪に埋めてスンスンと鼻を鳴らしている。
「? はい、ありがとうございます」
香りの強さなんて妙な事を気にするものだ。
それでも、こうやって私の意思を確認してくれるのが嬉しい。
お金で買われ首輪の熱で縛られ、結局のところどんなに嫌な事だろうと最終的には従うしかないと言うのに。
すっかり定位置になったガルの腿の上で手渡されたグラスの水を飲むと、オレンジのようなスッキリとした甘みが口に広がった。
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