ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

１１～２０話

１９d、私は起こった出来事をわかっていない

ガラス瓶の中にはオレンジや水色、赤味を帯びたピンクなど色とりどりの球体が詰まって、部屋の照明を反射しキラキラと輝いている。

瓶を手に取ると、瓶が揺れるのに合わせて中の球体もその色を揺らめかせた。
球体はガラス細工のようにゆらゆらと色を透かし、あまりにも綺麗で食べ物ではないみたいだ。

これは、飴玉……だろうか？

「食べてもいいんですか……？」

「勿論」

蓋を開けて、そっと一粒摘み上げる。

大きめの飴玉くらいの大きさで、表面は硬い。
光に透かして見れば、半透明の球体の中にオレンジ色の液体が入っているようだ。

ぱくりっ

大きな口で頬張ると、乗せた舌の上に上品な砂糖の甘みを感じる。
コロコロと舌で転がした後、恐る恐る歯を立てて噛み砕いてみれば、カリュッと砕けた砂糖の壁の中からジュワリと口中に爽やかな柑橘の甘みが広がった。

「んんーっ！」

その美味しさにジタバタと身悶える。

「っガル様！　これ、とっても美味しいです！」

「そうか」

興奮のままに感想を告げれば、ガルも嬉しそうに目を細める。

「あの……よかったらガル様も、食べてみませんか……？」

甘いものが苦手でも、もしかして果物のようなスッキリとした味ならば食べられるのではと、ガルの瞳を覗き込む。

だってすごくすごーく美味しいのだ。
この美味しさを、ガルと分かち合いたい。