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11~20話
クロも食べ物ではありません(はい【上】
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「ふわぁぁぁ!」
デコレーションされたクッキーの壁、板チョコの屋根、屋根の上には白いアイシングの雪が積もって、カラフルなチョコスプレーまで散らされている。
ぽっかりと空いた窓穴から中を覗けば、シガレットクッキーとウエハースを組み合わせたテーブルセットが見えた。
「本物のお菓子の家だ……!」
夢にまで見たお菓子の家。
今の自分のサイズなら、本当に中で暮らせてしまいそうだ。
かのヘンゼルとグレーテルもこんなときめきを味わったのだろうか。
目移りしながらもさらさらとしたクッキーの壁に鼻を寄せ、今度こそちゃんと甘い香りがしているのを確認すると、大きく口を開いて噛りついた。
あぐっ!
「……んぅ、かひりりくひ……」
平らな壁に真っ向から噛りつくのは、なかなか至難の業である。
あぐあぐ……
「――ナ、――――」
うーん、噛れないな。顎関節がつりそう。
あぐあぐ……
「――っ、――てくれ」
とんとんと背を叩いてくる手をしっしと振り払う。
ちょっと今手が離せないからあとにしてほしい。
あぐあぐ……
「――ナ、ヒナっ、起きてくれ! 降参だ! くすぐったすぎるっ!」
「あが……?」
壁に噛りついたまま目を瞬かせる。
あれ? なんで私は寝そべってるんだろう?
お菓子の家は? クッキーの壁は?
ん? この肌色の物体はなんだ? お菓子??
ぺろっ
「ヒナっ!」
悲痛な叫びを聞いて頭上を見上げれば、頬を紅潮させて耐えるようにぎゅっと眉根を寄せた、険しい険しいクロの顔があった。
赤らんだ顔から首筋、首筋から鎖骨へとゆっくり視線を下ろしていき、肌色の物体がクロの胸部であること確認する。
あー、はいはい、なるほどなるほど? 私はいつの間にかクロの右胸に乗り上げて、胸筋を噛っていた、と。
「……ごちそうさまでした?」
「ヒナ……」
――――罪深き私が『つんつんふにふにの刑』に処されたことを、ここに記しておく。
デコレーションされたクッキーの壁、板チョコの屋根、屋根の上には白いアイシングの雪が積もって、カラフルなチョコスプレーまで散らされている。
ぽっかりと空いた窓穴から中を覗けば、シガレットクッキーとウエハースを組み合わせたテーブルセットが見えた。
「本物のお菓子の家だ……!」
夢にまで見たお菓子の家。
今の自分のサイズなら、本当に中で暮らせてしまいそうだ。
かのヘンゼルとグレーテルもこんなときめきを味わったのだろうか。
目移りしながらもさらさらとしたクッキーの壁に鼻を寄せ、今度こそちゃんと甘い香りがしているのを確認すると、大きく口を開いて噛りついた。
あぐっ!
「……んぅ、かひりりくひ……」
平らな壁に真っ向から噛りつくのは、なかなか至難の業である。
あぐあぐ……
「――ナ、――――」
うーん、噛れないな。顎関節がつりそう。
あぐあぐ……
「――っ、――てくれ」
とんとんと背を叩いてくる手をしっしと振り払う。
ちょっと今手が離せないからあとにしてほしい。
あぐあぐ……
「――ナ、ヒナっ、起きてくれ! 降参だ! くすぐったすぎるっ!」
「あが……?」
壁に噛りついたまま目を瞬かせる。
あれ? なんで私は寝そべってるんだろう?
お菓子の家は? クッキーの壁は?
ん? この肌色の物体はなんだ? お菓子??
ぺろっ
「ヒナっ!」
悲痛な叫びを聞いて頭上を見上げれば、頬を紅潮させて耐えるようにぎゅっと眉根を寄せた、険しい険しいクロの顔があった。
赤らんだ顔から首筋、首筋から鎖骨へとゆっくり視線を下ろしていき、肌色の物体がクロの胸部であること確認する。
あー、はいはい、なるほどなるほど? 私はいつの間にかクロの右胸に乗り上げて、胸筋を噛っていた、と。
「……ごちそうさまでした?」
「ヒナ……」
――――罪深き私が『つんつんふにふにの刑』に処されたことを、ここに記しておく。
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