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やっぱり一目惚れの理由がおかしくありませんこと!?【後編】
しおりを挟む庭の奥まった位置にあるオリーブの木の下。
ドロワースを下ろしてまくったドレスの裾を抱え、下半身を露出させて立ち尽くす私は、どうしてこんなことになったのだろうと遠い目で青空を眺めていた。
「そのままでは下着を汚してしまいます。完全に脱いでしまったほうがいいでしょう」
「あ、恐れ入ります……」
土で汚れるのも構わず目の前に跪いたハルドが、片足ずつ、ヒールに引っかけないよう慎重にドロワースを抜き取ってくれる。
そうしてドレスとヒールだけの姿になった私は、これが白昼夢であることを願いながら腕の中に溜まったドレスの裾をぎゅっと抱きしめた。
「裾は私が押さえておきましょうか?」
「お気遣いには及びませんわ」
本当に、一体全体どうしてこんなことに。
「もっと脚を開いていただかなくてはよく見えませんが……。もしや、本当は恥ずかしく思——」
「そんなことありませんわ! ああー、見ていただきたくてたまらないわ!!」
「それでは、右足をこちらの石の上に」
ハルドが示したのは、膝の高さほどもある艶々とした庭石。
「さ、さすがにそれは脚を開きすぎではないかしら?」
「やはり本当は見せたく——」
「見せたいですわ! とくとご覧あそばせ!」
ヒールを履いた右足をカッと庭石の上に置き、改めてしっかりとドレスの裾をまくりあげた。
「…………」
「…………」
ほんのりと暖かな風がそよそよと秘部に触れる。
本当にこれはそよ風だろうか。目の前に跪いて顔を寄せるハルドの呼気ではないだろうか。
なにせ、ものすごく顔が近いのだ。
——ああ、いっそこのまま気絶してしまいたい。
「……出にくいようでしたら、お手伝いいたしましょうか?」
「結構ですわっ!!」
お手伝いって何!? 何をする気!?
そんな恐ろしげな事態を招かないためにも、現実逃避はやめて真剣に下腹に意識を集中する。
紅茶を飲んだのだから、出るものはあるはずだ。自分を信じて。出せる。出せる。
————あ、出そう。
ちょろっ
ちょぁ……じょぼぼぼぼぼぼぼぼぼ……
明るい午後の日差しに照らされ、きらきらと散る黄金。
先ほどの気まずいお茶会で嫌と言うほど飲んだ紅茶が、たっぷりの放水となって地面に叩きつける。
お、音が……!
小鳥のさえずる庭の一角。大きく開いた脚の間から一直線に降り注いだ黄金は、水溜まりに当たってジョボジョボと下品な音を立てる。
じょぼぼぼぼぼぼ…………
…………ちょぼっ、…………ぴちょん
さすがにハルドの顔を見る勇気はなく、真っ赤な顔でぎゅっと目を瞑る。
秘部を、ぬるりと湿った感触が撫でた。
「やっ、なに!?」
バッと見下ろすと、いつかのようにハルドがハンカチで私の秘部を拭ってくれていた。
ハンカチの感触とは違った気がしたのだけれど……秘部に顔を寄せポンポンとハンカチを当てるその優しい手つきに、みるみる羞恥が募っていく。
私の視線に気付いたハルドは、ふわりと綺麗な笑みを浮かべて言った。
「たくさん出ましたね」
「わ、わわっ、わたくし……門限の時間ですので失礼いたしますわぁぁぁぁぁぁっ!!!」
うららかな初夏の午後。
その日、私の下着が一枚行方をくらませた。
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