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三章『ギア編』
第308話 サンライト29
しおりを挟むなぜキラーキラーがここに? 全て破壊したはずだ。
「てめぇかコラ」
ドスの効いた声がする。
「お前がギアか」
「バカが質問は俺から一方的にすんだよ。この爆発はてめぇがやったんだろ」
俺は黙る。あの返答、こいつがギアで間違いない。
「他のキラーキラーと通信がとれねぇ、格納庫のキラーキラーどもを破壊したな?」
キラーキラー同士で交信することができるのか。
「別の場所にしまっていた1号機には気づかなかったのか?」
「そのキラーキラーが最後の機体か?」
「同じこと言わせんじゃねぇ。まぁ、もういい」
キラーキラーは4本の腕にそれぞれ武器を持つ。大剣に大槌に大槍に大斧、本来ならば両手で扱う武器を軽々と持っている。
「聞きてぇことが山ほどあるが、拷問は専門外だ。捕まえてパロムのところに連れていってやる」
キラーキラーの4本の腕が別の生き物のように動く。俺は超直感を発動させる。死線が可視化される。
距離を詰めたキラーキラーは連撃を繰り出す。その剣筋は未熟だが、その一振一突きが一撃必殺の威力を有している。
俺はキラーキラーの連撃をすべてかわす。下手に受ければ工場から突き落とされかねない。
「ちぃ。ちょこまかと。チョイレーザー」
出力を抑えたレーザー光線が連撃に加わる。なに、死線をくぐるのは慣れている。
俺は双剣に魔力を巡らせる。
「地獄(ヘル)の炎(フレイム)」
黒い炎を纏った双剣でキラーキラーの胴体部分を斬りつける。
「バカが魔法が効くわけねぇだろうが」
キラーキラーの機体には傷一つついていない。そうか退魔鉱石製のボディなのか。キラーキラーには魔法が効かない。
だが俺はキラーキラーに密着したまま離れない。距離を取れば高出力の範囲攻撃、レーザー光線の的になるだけだ。
それにまだ俺は剣技を試していない。俺はスキルを発動させる。
「旋風裂閃!」
『旋風裂閃』。そもそもは双剣を使った連続大回転斬り。その技に俺の特異体質『超直感』を足して、相手の隙を確実に狙える技に昇華させる。
キラーキラーは俺の技を4本の武器をクロスさせて受ける。
俺の双剣とぶつかり火花が散る。
直感に従い狙った箇所に剣を打ち込む。武器を4本とも弾き飛ばすことに成功する。勢いよく飛ばされた武器は工場から落ちる。よし、キラーキラーといえど無手ならどうにかなるかもしれない。
「ちぃ」
キラーキラーは背中から刃の部分がない剣の柄を取り出す。あれはなんだ? 一体どういう意味が?
「K(キル)ソード」
俺は驚愕した。キラーキラーの持つ柄の鍔の部分から光が溢れだしたのだ。
その光は刀身となる。刀身を魔力生成する魔法か? いや違う灰色の光からは魔力を一切感じない。
「なんだそれは」
「うるせぇ」
キラーキラーは腕を1本だけ使い、横薙ぎに振るう。
先程の戦いを覚えていないのか? この程度の攻撃、容易く回避・・・・・・!? 死線が伸びーー。
仮面の一部が砕ける。マントはズタズタに引き裂かれる。これは・・・・・・。
あのKソードという剣。刀身が自在に変化するのか!
「お、あたったな。これもかわすと想定していたんだが・・・・・・ん? てめぇ、人間かよ」
「そうだ。人間だ」
「そうか、王国からの死客か。ちょうどいい、対人の調整がまだだったんだ」
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