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三章『ギア編』
第195話 セギュラ・バーミリオン4
しおりを挟む俺の胸に突き刺さった大剣は完全に貫通している(仰け反っていたため剣先は地面に突き刺さった、まさしく串刺しだ)。
セギュラは勝利を確信したようにニヤリと笑っている。
確かにプロトタイプの時なら致命傷だったかもな。だが残念ながら今の俺の弱点は後頭部だ。
そうやって前衛的なオブジェになっていると、レイの奴が試合を終わらせようとする。
俺は片手を上げて人差し指を揺らす。
「まだだ、まだダウンすらしてねぇだろうが」
「で、でも」
「ふっ、まだ負けを認めないと言うのか!」
「当たり前だろうが、俺は気持ちで負けたこたァねぇんだよ」
「なら次はその頭を破壊してやろう!」
「ククク」
「何がおかしい!」
「いや、やっとわかりやすくなってきたなって思ってよぉ」
「何を言っている? 私は元から変わらないぞ!」
「ああ、早くかかって来い、時間が惜しい」
「行くぞ、これで最後だ!」
セギュラは大きく息を吸い込む。火炎(ファイヤー)の吐息(ブレス)の準備をしている。
火炎(ファイヤー)の吐息(ブレス)のことはレイから聞いている。
まずメリットだが、言わずもがな超威力、さらに広範囲攻撃、さらに火属性。
火属性による焼却の他に、爆弾のような破壊力も兼ね備えているため並の耐久力じゃ、燃え死ぬ前にバラバラに吹き飛ばされる(まぁこの魔法を使わせただけでも奮闘したとは言える)。
そしてデメリットだが、クールタイムが長ぇ、連射ができねぇってのは結構なデメリットだ(その間、別の戦い方をすりゃいいだけの話しだが、使いたい時に使えないのはネックだ)。
つまり今の火炎(ファイヤー)の吐息(ブレス)の発動モーションに入ったセギュラは隙だらけってことだ。
そりゃあ俺がこんなん(串刺し)だからな動けるわけがねぇと高を括ってんだろうが、それこそが命取りだ。
俺は右腕に魔力を全力で注ぐ(人でいうところの力を込める)。そして刺さっている大剣を思いっきりぶん殴る。
凄まじい金属音が轟く。
俺の右腕が肘先から無くなっている。粉々に砕け散った。
必要経費だ、その成果として大剣を叩き折ることができた。
俺は大剣の拘束から解放される。
「そんな馬鹿な! その大剣は小龍(ワイバーン)一族の宝剣だぞ!」
「バカが宝なら保管しとけ」
「くっ! だがもう遅い喰らえ!」
セギュラは胸を最大まで膨らませる。次の瞬間にはセギュラの口から灼熱の炎が放たれるだろう。
俺は火炎(ファイヤー)の吐息(ブレス)が来る前に、両足に力を込める。
そして俺はセギュラに向かって全力で飛び跳ねる。その瞬間俺の両足は魔力に耐えきれず粉々に大破した。必要経費だ。
「なっ!」
俺は残った左腕に力を込める。セギュラの腹を思いっきり殴る。
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