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三章『ギア編』

第191話 ハマりそう

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 翌日、早朝。ポラニアから呼び出された俺は現在ポラニアのラボにいる。

 隣にはレイがいる。

 シチュー戦での損傷で今の俺には手がねぇ(頭部もねぇ)、だからレイを起こして俺の世話をさせている(世話っつってもドア開けたりとか雑務だ)。

 横目には分厚いクッションでくつろぐシチューの姿。洗ったのか毛並みが良くなってやがる。俺らが来たのも無視して寝ている。

「お待たせポメ」
「要件はなんだ」
「これを見てほしいポメ」
「これは」

 ポラニアが何かを覆っていた布を取る、現れたのはキラーだ。今俺が使っている5頭身のプロトタイプじゃない、製品版だ。

「これがどうした? キラーなら初日から知ってるぞ」
「違うポメ、キラーの後頭部を見てほしいポメ」
「あん? いいから説明をだな、おいレイ俺を抱えろ」
「はい」

 レイは俺の脇を掴むと(腕がねぇから、ここを脇と言っていいのか分からねぇが)キラーの頭の高さまで俺を持ち上げる。

「んぎー、結構重いんですねー」
「おいポラニア、この凹みはなんだ?」

 キラーの後頭部が抉られている。

「······昨日、シチュー様がキラーとじゃれている時に砕かれたポメ」
「それを俺に見せてどうする」
「まだ分からないポメか?」
「あん? 俺は賢くねぇし、柔らかい頭も持ってねぇから、わかりやすく言ってくれねぇと分かんねぇよ」
「そうポメね。レイラはどう思うポメ?」
「え、え?」

 レイは急に話を振られて困惑している。普段親衛隊に話しかけたりはしないからな。

「レイラはギアの特別な親衛隊ポメ。君の意見も聞いておきたいんだポメ」
「えー、んー、ハマりそう、ですか?」

 ハマりそう? 損壊フェチに目覚めそうってことか? 何を言ってるんだ俺は、

「正解だポメ」
「やったー!」

 はぁ?

「ギア、今から君をこの凹みにハマるポメ」
「ハマるってそういうことかよ、そして何を言ってやがる」
「いいからやるポメ、悪いようにはしないポメ」

 俺はポラニアにキラープロトタイプから引き抜かれると、キラーの後頭部へと押し当てられる。

 何がしてぇんだか。遊びに付き合ってるほど暇じゃ······、

「んぁ?」

 急に視界が高くなる。なんだぁ?

 視線を下に向けるとそこには人形の手。握ったり開いたりしてみる。俺の意思で動く。これは・・・・・・。

「成功ポメ」
「何をした?」
「ギアはキラーを操縦することができるポメ」

 そういうとポラニアは手鏡を俺に向ける。
 俺がキラーになっている。

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