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三章『ギア編』
第184話 チワワクエスト9
しおりを挟む「レイ、チワワの動きを止めろ」
「無理ですよぉ、1000の魔物で襲いかかっても足止めにしかならないんですよ?」
「······そうか、足止めはできてんのか」
「え、ギア、何を考えているんですか!?」
「ここから全魔力を放出する」
「いやいやいや、魔物たちも巻き込んでしまいますよ!」
「チワワに殺されるか、俺に殺されるかの違いだろ、ならば有効的に使ってやるまでだ」
「ひどい! 人でなし! おに! あくま!」
「なんとでも言え」
俺は暴れ回る魔獣チワワに標準を合わせる。敵意丸出しだが、周りにいる魔物どもも敵意を放っている、さっきみたいに俺の体が引きちぎられる事はない。
どのくらいの威力になるか分からねぇが、全力でいいだろう。
前みてぇに暴発しねぇように魔力をギュウギュウに詰めるイメージで俺は呪文を唱えた。
「火(ファイヤー)の玉(ボール)」
お、暴発しねぇな。
俺の目の前に太陽のように光る火球が出現しただけだ。
前の失敗を元に少し魔力ってやつの動かし方を意識してみたが今度は成功したのか?
「あ、ああ」
レイが言葉にならない声を出してへたり込む。
その間も火球は大きくなり続ける。
「おい、これは成功したのか?」
「分かりませんよ! こんなの!」
火球はどんどんでかくなる。
チワワも魔物どもも戦闘をやめて俺に視線を向けている。
「ただ」
「だだなんだ」
「この魔法······火属性最強魔法、超新星(スーパーノヴァ)にそっくりです」
メ〇を撃つつもりが、間違えてメ〇ゾーマを唱えちまったみてぇなもんか。
「まぁいい、強力なことに越した事はねぇ」
「いやぁ、これは私たちも焼け死にますよ······すでにめちゃくちゃ熱いですっ!! 私だけでも逃げていいですか!?」
「ダメだ」
「そんなー」
熱いのか、俺には人の頃とは違って感覚がないからな。
「この魔法を解き放ったが最後、消えてしまいますよ」
「ちぃ、キャンセルするにはどうすればいい」
「魔力の供給を止めるか、相対する同等またはそれ以上の魔法で中和する必要があります」
「魔力を止めるだァ? どうやるんだ?」
「呪文の取り消しは初心者には無理です!」
口論している間にも火球はでかくなる。すでに夢のマイホーム並の大きさになっている。
「もう飽和して暴発します! もうダメだぁ! 姉さーーん!」
なす術がねぇ、俺はこのまま自滅するのか。
上等だ。
「おいレイ」
「わ、私はあんなの止められませんよ!」
「バカ違ぇよ、俺の後ろに隠れてろ」
「え、優しい」
「優しくねぇ、死にてぇのか早くしろ」
「は、はい!」
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