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三章『ギア編』

第171話 嬉しいとオシッコもしちゃうポメ

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「ちょっと待て、いまチワワっつったか?」
「言ったポメ、魔獣チワワ、九大天王の一角だポメ」

 俺はポラニアに同じセリフを言わせながら考える。チワワってあれか、あの犬の、特に小さいやつか、そんなのが九大天王? ホネルトンやパロムと同格だぁ?

 いや待てよ、名前だけ同じ、そうだ同姓同名って可能性もある。きっと強靭な肉体を持つ凶悪な魔獣に違いない。

「そいつはどれ位の大きさなんだ」
「体重は5キロポメ」
「5キロ? 5トンの間違いじゃねぇのか?」
「何を言ってるポメ、チワワが5トンなわけないじゃないかポメ」

 どうやらマジモンらしい。

「それは同個体と比べて大きいのか」
「ちょっと大きいポメ、たくさん食べるから少し胴回りがふっくらしているポメね。そこがいいんだポメけど」
「鳴くのか」
「鳴くポメ、嬉しいとオシッコもしちゃうポメ。おちゃめで可愛いポメね」
「しつけは?」
「お手ができるポメ、待てはまだできないポメ。これからの成長に期待ポメ」
「見た目は? チワワなのか?」
「質問の意味がよく分からないポメ。まん丸アップルヘッドにマズルも短くて可愛いポメよ」
「色は」
「クリーム色ポメね、優しい色ポメ」
「名前は」
「シチューポメ、この種族の名前はだいたい食べ物や色から連想されるものが多いポメね、理由は未だに解明されていないポメ、僕は似合っていると思うポメよ」
「そのシチューが今回の俺たちの敵ってわけか」
「勧めておいてなんだポメけど、僕はシチュー様と敵対するつもりは毛頭ないポメ」
「だが、魔鉱石を採掘するにはそのシチューを排除しないといけないんだろ」
「やるとなると戦う覚悟も必要になると思うポメ、でもそもそもな質問なんだポメけど危険を冒してまでやることポメ?」
「当たり前だろ、そうしねぇと前に進めねぇ」
「僕はシチュー様と敵対するのは反対ポメ、死んだら元も子もないポメ、違うところでもレアメタルは微量に取れることもあるポメ」
「それだとどれくらいかかる?」
「ざっと10年あればギアのボディを作れるほどには集まると思うポメ」
「却下だ、それじゃ遅すぎる」

やはり九大天王のシチューと一戦交えねぇとならねぇみてぇだな。一応魔王のところに行ってみるか。魔王なら案外簡単にどけてくれるかもしれねぇからな。

「というかギア」
「なんだ」
「授業の時間ポメ」
「あん? んなもんサボって」
「サボらせませんよ」

 いつの間にか背後に立っているホネルトンに捕まって俺は教室に連行された。


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