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三章『ギア編』
第155話 他も潰しておくか
しおりを挟む「他も潰しておくか、魔力が切れないうちに、な」
俺の視線に当てられた奴が、怯えたように体を震わせる。1人ずつ喉を潰すのは手間だな。
「おい、メア(リーまで言うのがめんどくせぇ)、こいつらの首をかっさばくの手伝え」
「なんで私が、ていうかメアって私のこと!? 私は貴方の敵で、それに皆はクラスメイトだわ」
「何を甘いことを言ってやがる、ライバルは蹴落としてなんぼだろうが」
「く、狂ってる。ここでこいつは倒しておかないとダメだわ!」
「バガが倫理観に囚われやがって」
もう一度あの頭を潰してやる。今度は止める奴もいない。完全に息の根を止めてやる。
俺が高速回転で移動すると、横から衝撃を受ける。なんだぁ。
「放しやがれ」
「······」
俺を鷲掴みしたのは、機械みてぇな奴だ。結構な回転していたはずだが、ビクともしねぇ。ガッチリとロックされている。
「キラー、よくやったわ! そのまま抑えていてちょうだい」
ちぃ、仕方ねぇ適当にボコられて死んだフリをしてやり過ごすか。覚えてやがれ、死んだフリを成功させてやる。
「この魔物は実に興味深いポメ」
今まで黙って事の成り行きを観察していたガスマスクをかぶったポメラニアンみてぇな奴が口を開いた(なんだその語尾は正気か?)。
「連れて帰るポメ」
「ちょっと! ポラニア、本気なの?」
「僕は無駄口は叩かないポメ。この魔物は面白い実験材料になるポメ」
「おい」
「なにポメ」
「その語尾をやめろ、やめればその分早くなるだろうが」
「無理ポメ、ソウルワードポメ」
ポラニアは持っているラジコンのプロポを操作する。
すると俺を掴んでいるキラーとかいう奴が動き出す。
「こいつ、ポメの機械か」
「ポメじゃないポメ。いいから連れていくポメよ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。まだ私との勝負が終わってないわ!」
「知的探究心が勝ってしまったポメ。いまギアとやるというのなら、まずは僕とキラーが相手になるポメよ」
「くっ······。わかったわ、面倒はごめんだわ。でもギア、この顔の恨み、忘れないから」
「けっ、あとも残ってねぇのにピーチクパーチクほざきやがって、後でもっとデカイの喰らわせて地獄に送ってやるから覚悟しとけよ」
「なによ! 無機物系で毒が効かないからって調子に乗らないでよね。貴方を殺す方法なんて他にいくらでもあるんだから」
俺はポラニアとキラーに、ラボに連行された。
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