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二章『パテ編』
第125話 キラーキラー19
しおりを挟むキラーキラーに敵意がないと判断した俺たちは休むことにした。思えばろくに休んでいなかったからな。休めるうちに休んでおこうということになった。
もちろん完全に信用したわけではない、キラーキラーには村から離れたところで待機してもらった。夜間もエリノアとアイナが交代で見張ってくれた。
そして翌朝。
村人たちをこのまま家にこもりっぱなしにさせていたら、いずれ餓死者が出る。なので俺は村長に言って、村人たちを家からだしてもらった。
見張りは目の利くエリノアかアイナがいるからな。小龍(ワイバーン)を発見してからでも避難はできる、と説得した。
そして俺は、見張りを終えたアイナと、話のわかるジゼルを連れてキラーキラーのもとを訪れた。
「おお、勇者! 待っていたぞ」
「俺のことはバーガーと読んでくれ」
「ああ、わかった、バーガー!」
キラーキラーは至ってフランクだ。
「昨日は突然襲ってすまなかった」
「誰も死んでないから良しとしよう」
「それは助かる」
「それでキラーキラーからは降りないのか? 直接会って面と向かって話したいんだが」
「あー、実はそのことについてなのだが」
キラーキラーは至極言いにくそうに言葉を続ける。
「降りれないのだ」
「どういうことだ?」
「簡単に言えば、いや、簡単に言えることではないな、······なんというか、俺の元の体はもう無いんだ」
アイナとジゼルはまだ理解していないだろうが、俺にはその言葉の意味が理解できた。できてしまった、痛いほどに。
「つまり、そのキラーキラーにあんたの魂が憑依しているのか?」
「おお! さすがは勇者だ! そう、何を隠そう俺は魂を入れた機械兵の実験体として、奴らにモルモットにされたのだ!」
アイナはポカンとしているが、話を理解したらしいジゼルが口を開いた。
「どうしてそんな実験に? 貴方は誰?」
「話せば長くなる。俺はこのギムコ村出身の聖騎士、月(ムーン)の無(ロスト)い夜(ナイト)部隊、隊長のサガオ・サンライトだ」
この村の聖騎士だと、もしかしてヒマリの兄というのはこの男のことか。と、今は話の腰を折るわけにはいかないな、黙っていよう。
「この村の聖騎士ってことは! もしかしてヒマリのお兄さんですか!」
アイナさーん、今は話を聞くパートですよぉ。まぁ、いいか、どうなんだ?
「おお! ヒマリは俺の妹だ! 奴らから逃げてきて朦朧とする意識の中、妹のことを思い続けていたら、ここにたどり着いていたのだ!」
お、話は脱線しなかったか。逃げてきたということは、
「俺は魔王の城に単独で侵入していたのだ」
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