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二章『パテ編』

第124話 キラーキラー18

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「旋風裂閃!」

 高速回転する4本の腕が、紅蓮の獅子を2頭同時に切断する。

 消える紅蓮の獅子の影からエリノアが飛び出す。追撃を加えようというのだ。

「次はお前か! レーザー、!?」

 レーザー光線を放とうとしたキラーキラーの頭部が爆発する。アイナの火の矢だ。

「ぶっ!? なんだ! 囲まれてんのか俺! うおッ!!」

 エリノアの斬撃を胴体に受けて、キラーキラーはたたらを踏む。それでも4本の足で体勢を立て直す。

 あの巨体を退かせるとはエリノアのパワーが段違いに上がっている証拠だ。これが根性値というやつか!

「やるな猫! だが、これは受けられるかな!」

 キラーキラーの4本の腕をすべて使った乱舞だ。自動操縦の時よりも断然速い!

 エリノアは自分と同程度の大きさの武器を腕力で弾いている。折れずの剣でなかったら剣ごと真っ二つに引き裂かれているだろう。

 そんなとき、ジゼルが詠唱を始めた。

「過ぎたるは純黒」

 ジゼルの左手に黒い魔力の炎が灯る。

「求めるは純白」

 今度は右手に白い魔力の炎が灯る。両手を胸の前で合わせる。2つの魔力を混ぜている。

「過去と未来を今に、黒白(ブラックホワイト)」

 ジゼルの両手から黒い稲妻と白い稲妻が混ざりあったものが放たれる。

 キラーキラーの上半身を狙っているのでエリノアに被害はない。

 そしてキラーキラーは避ける素振りすら見せない、直撃だ!

「ふん!」

 しかし弾かれてしまう。

「このキラーキラーのボディには魔法は効かない! まんまり!」

 やはり魔法対策をしていたか、どうりで俺の魔法も効かないわけだ。

「この血だらけの猫も厄介だが、後衛がさっきから邪魔だな、ちょいレーザー!」
「うニャ!」

 キラーキラーは威力を抑えた予備動作なしのレーザー光線をエリノアに向かって撃つ。だがさすがはエリノア、ノーモーションのレーザー光線を野生の勘か何かで察知して回避する。しかし、

「後衛を倒した後に、あの前衛を倒してやる!」

 キラーキラーは全速力で俺たちに向かって駆け寄ってくる。

 止めに入るエリノアに、キラーキラーは後ろ走りになり、エリノア目掛けてちょいレーザーを放つ。くっ、エリノアが間に合わない!

「クソ! 勇者の俺の出番というわけだな!」

 俺は魂(マテリア)の実体化(ライズソウル)を発動させようとする。これならば対抗できる!

 がしかしキラーキラーはいきなり止まった、
 急ブレーキだ。地面がベロンとめくれる。キラーキラーは俺をまじまじと見つめている。

「喋るハンバーガーだ······まさか勇者······!?」
「あ、ああ」
「君たちは魔王が差し向けた追手じゃ?」
「違うぞ」

キラーキラーはわなわなと震えている。そして、

「俺の夢は勇者パーティに入ることだった······」

キラーキラーはそう呟いた。

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