上 下
54 / 1,167
二章『パテ編』

第54話 大喧嘩祭1

しおりを挟む

 旅に出てから6ヶ月が経過した。王国までの道も残り半分だ。

 スーはこの2ヶ月で何度も死んだ。仮にこの世界にステータスがあるとすれば、スーの幸運値はマイナスに振り切れていることだろう。それくらいに運が悪い。俺たちのパーティ内でスーが死んで心配するのはアイナだけとなった。

 現在、俺たちはオオベナ街にいる。マオタ街と同規模の街だ。

「それじゃあ、ミーは商売してくるね」
「私はこの街の図書館に用がある」

 エリノアとジゼルは宿を決めると早々に出ていってしまった。ま、久々の街だ、たまには自由行動も悪くないか。じゃあ、俺はアイナとスーの面倒でもみるか。

「バーガー様、私も今日は1人で行きたいところがあります」
「え、ああ、そう? アイナが珍しいな。何をしに行くんだ?」
「内緒です」

 内緒かぁ、アイナが内緒でやる事といったら、弓の練習、剣の練習、馬術??????ダメだ、多すぎて検討がつかない。

「ダメ??????ですか?」
「いや、構わないよ。俺はスーといるから、行ってきなよ、ただし遅くなるなよ」
「はい! では、行ってきます!」

 アイナは元気に出かけていった。何をするのやら。

「バーガー、みんなどこにいったの?」
「今日はお休みだよ、好きなことをしていい日だ。あ、犯罪はダメだよ」
「おやすみ? じゃあ、ぼくもねるね!」

 スーはふかふかのベッドに頭からダイブする、その反動で首の骨が折れる。死んだのだ。

 皆、いってしまったか。そうだな俺も1人で歩き回ってみるとしよう。1人で出歩いていたのはタスレ村くらいだ。俺は薬草に加えマントと短剣を挟んで外に飛び出す。

 踏まれないように、人々の足の間を跳ねて移動する。さて、何をしようか。

 1人でいるとコンビニに赴いた日の事を思い出すな。あの時より俺は強くなれただろうか。否、俺は強くならなければならない。

 強くなるイベント。やはり修行か、否、修行は日ごろしている。うーむ、転生トラックに轢かれる前はほとんどがアニメを消化しつつの瞑想だったからな。

 何かないか。む、冒険者ギルド前に人集りができているな。仮設された掲示板には1枚の張り紙がある。

 張り紙にはデカデカと『腕自慢集まれ! オオベナ街の最強決定トーナメント! 大喧嘩祭開催!』と書かれている。ほう、力比べか、なになに、1体1のタイマン形式のトーナメントか。これならと思ったが、3日後か、俺たちは旅の途中だ、足止めを食らうわけにも??????。

 『優勝賞品はなんと金額1枚』。ふーん、金貨1枚か、金にはあまり興味が無いな。

 『なお副賞として最高級食材、斧牛(アックスブル)を1頭丸ごと贈呈!』。よし出よう。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

処理中です...