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二章『パテ編』
第54話 大喧嘩祭1
しおりを挟む旅に出てから6ヶ月が経過した。王国までの道も残り半分だ。
スーはこの2ヶ月で何度も死んだ。仮にこの世界にステータスがあるとすれば、スーの幸運値はマイナスに振り切れていることだろう。それくらいに運が悪い。俺たちのパーティ内でスーが死んで心配するのはアイナだけとなった。
現在、俺たちはオオベナ街にいる。マオタ街と同規模の街だ。
「それじゃあ、ミーは商売してくるね」
「私はこの街の図書館に用がある」
エリノアとジゼルは宿を決めると早々に出ていってしまった。ま、久々の街だ、たまには自由行動も悪くないか。じゃあ、俺はアイナとスーの面倒でもみるか。
「バーガー様、私も今日は1人で行きたいところがあります」
「え、ああ、そう? アイナが珍しいな。何をしに行くんだ?」
「内緒です」
内緒かぁ、アイナが内緒でやる事といったら、弓の練習、剣の練習、馬術??????ダメだ、多すぎて検討がつかない。
「ダメ??????ですか?」
「いや、構わないよ。俺はスーといるから、行ってきなよ、ただし遅くなるなよ」
「はい! では、行ってきます!」
アイナは元気に出かけていった。何をするのやら。
「バーガー、みんなどこにいったの?」
「今日はお休みだよ、好きなことをしていい日だ。あ、犯罪はダメだよ」
「おやすみ? じゃあ、ぼくもねるね!」
スーはふかふかのベッドに頭からダイブする、その反動で首の骨が折れる。死んだのだ。
皆、いってしまったか。そうだな俺も1人で歩き回ってみるとしよう。1人で出歩いていたのはタスレ村くらいだ。俺は薬草に加えマントと短剣を挟んで外に飛び出す。
踏まれないように、人々の足の間を跳ねて移動する。さて、何をしようか。
1人でいるとコンビニに赴いた日の事を思い出すな。あの時より俺は強くなれただろうか。否、俺は強くならなければならない。
強くなるイベント。やはり修行か、否、修行は日ごろしている。うーむ、転生トラックに轢かれる前はほとんどがアニメを消化しつつの瞑想だったからな。
何かないか。む、冒険者ギルド前に人集りができているな。仮設された掲示板には1枚の張り紙がある。
張り紙にはデカデカと『腕自慢集まれ! オオベナ街の最強決定トーナメント! 大喧嘩祭開催!』と書かれている。ほう、力比べか、なになに、1体1のタイマン形式のトーナメントか。これならと思ったが、3日後か、俺たちは旅の途中だ、足止めを食らうわけにも??????。
『優勝賞品はなんと金額1枚』。ふーん、金貨1枚か、金にはあまり興味が無いな。
『なお副賞として最高級食材、斧牛(アックスブル)を1頭丸ごと贈呈!』。よし出よう。
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