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一章『レタス編』
第18話 毒草
しおりを挟む森の奥は魔物が多い。これは集団狩猟が原則化されるのも頷ける。
「魔物発見、青猪(ブルーボア)です」
「よし、射れ」
「はい。命中。標的倒れました」
エルフは森でも目が利く、青猪(ブルーボア)よりも先に気づき、先制毒矢で確実に仕留めていく。逐一俺に確認とってくるのがなんとも可愛らしい。おっといけないいけない。体が使えないなら頭を使わねば。
「矢の本数は大丈夫か?」
「はい、矢筒にはまだ10本残ってます」
アイナは矢筒を見ないでいった。矢の残りもちゃんと把握しているのか。さて10本を多いと見るか少ないと見るか。
「矢を抜いて再利用しよう、できるかな」
「毒矢には返しがついているので、短剣で肉を切り裂けば取れます。ですが少し時間がかかりますし、毒が落ちて効果が薄くなります」
「アイナ、焦る気持ちもわかるが、急いで矢が無くなったら元も子もない。俺たちは最低でも生きて帰らなければならない。少し時間をかけてでも矢を回収するべきだろう。ただ長居はするな死体の臭いを嗅ぎつけて別の魔物が来るかもしれないからな」
「はい!」
アイナは感心したようにうなづくと、手際よく青猪(ブルーボア)の肉を切り裂き矢を回収する。一射一殺。そんなぬるい計算でいけば11頭の猪をい殺せる計算になる。完全に皮算用だが。アイナが作業をしている間、周りを見ていた俺は、青猪(ブルーボア)の隣に生えている毒々しい紫色をした草を発見する。
「バーガー様、気をつけてください、それは毒草です」
「森の奥にしかない草か、その毒矢の原材料の一つだな」
ふと俺の脳裏に一つの疑問がよぎった、俺に毒は効くのか? 俺には毒を喰らう臓器すらない。ルフレオいわく、無機物系の魔物には基本的に毒は無効らしいしな。どれ挟んでみるか。
「あむ! むぐむぐ!」
「あ! バーガー様! そんなもの食べちゃダメですよ! 早くベーしてください!」
犬初心者の散歩かよ! こうやって拾い食いさせちゃうんだな。俺はアイナを無視して解析を開始する。女神の声が脳裏に響く『毒草から『毒ポイズン』を検出、1回使用可能』どうやら毒も喰らわずに使うことができるようだ。アイナは俺の口をどうにか開こうとあたふたしている。
「大丈夫だ、挟むだけなら毒も効かないっぽい。もしかしたら毒そのものが効かないのかもしれない」
「ぽいって······、わからないで試したんですか。試すならせめて万全な状態でお願いします······」
「わ、わかりました、すんません」
口調はさほど変わっていないが、割と本気で怒ってるっぽかったので、俺は反省することにした。いちよ解毒草挟んであるんだけどなぁ。それいうともっと怒りそうだから言わないでおこう。
さて、新しい魔法を試すか。
「今ので新しい魔法を覚えた、どんな発動方法なのか試すから離れていてくれ」
アイナは3歩下がった。それでも不安なので、俺は、俺の後方にある木の影に隠れるように指示を出す。さてさて、どんなもんかね。
「『毒ポイズン』」
鈴がなるような小気味のいい女神の詠唱のあと、俺は口から粘度の高い紫色の液体を吐き出した。俺の目がある方からだから前方で間違いない。にしても結構出たな。俺は萎びた毒草を吐き捨てる。
これで毒バーガーの出来上がりだ! 俺は戦うすべを一つ獲得したのだ。
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