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六章『ピクルス編』
第1041話 純悪の魔獣28
しおりを挟む「がっ!!ぐはあ!!」
壁に激突する。この要塞は硬い、岩一つとっても大概な強固さを誇る。そのためダメージが全てサガオにくる。
それでもいつもならやり方はいくらでもあった。単純に達人のサガオですら受け身すら取れないほどの衝撃だったのだ。
「げぼっ」
機内のヒマリが吐血する。
「ヒマリ! ヒマリ!! 大丈夫か!!」
「大丈夫だよ、おにぃちゃん、私のことはいいから」
ヒマリのコンディションはサガオのモニターに残酷に表示されている。今の一撃は不味い、戦いをやめて自動治療に専念せねばヒマリの命が危ない。
「ぐ……」
「おにぃちゃん!!」
年端もいかない少女の叫びだが、力強さにサガオはハッとする。
「この一分一秒、あの外道を私たちに釘付けにさせることがどれほど重要なことか、私のことよりも、今は勇者でいて!」
「ぐぅ!!」
サガオは折れたサンザフラを強く握り直し魔力生成して剣先を修復する。
すでに眼前にまでシチューが来ていた。
追撃してくる様子はない。流暢に口が動いた。
「落ち着き冷静に思考したまえ、私がここに留まったところで城内にはパロムがいる。それがどれほどの絶望か君たちにはわからないか? 私はせいぜいここで君たちを使って遊ばせてもらうことにする、いいかね私が遊ぶ側だ。だから君たちは時間を稼いでいるんじゃないんだ、私に遊ばれている、意図して生かされているに過ぎない、くれぐれも勘違いしてはいけないよ」
「おにぃちゃん信じないで!」
「もちろんだ!!」
「強情だ、四肢を毟れば理解が早まるか?」
シチューが高速移動してサガオに襲いかかろうとする、その直前にスキルを発動させる。
「超直感!」
可視化された死線が無数に迫った。
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