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六章『ピクルス編』
第1032話 純悪の魔獣22
しおりを挟むシチューにはこれを返す術があった。
勇者斬(ブレイブスルー)は見たことがあった。見た事のある技ならそれに対抗するだけの体力と魔力、そして打ち消すための技術を用意すればいい。初見の技でもない限りシチューに効く技はないと言っていい。
この一撃を真っ向から粉砕して絶望しきった獲物の反応を想像するだけでヨダレが飲めど飲めどダバダバと溢れ出る。鎧の中がヨダレだらけになる。
体の中の魔力も十分に練れた。この呪縛を解き放ちながら真下から迫る勇者斬(ブレイブスルー)に対抗する。
「カッカカカカ! ボッ!!」
チャッカマンの如く炎を吹いた。
もちろんただの炎ではない、シチューの体内で練られた地獄の炎だ。燃やした魔力を燃料にさらに燃える特性を持つ。
これならば相手の技が強力なほどこちらの威力が上がる。
シチューは破顔した。炎では殺さない。
あの鎧を剥ぎ、中身を引きずり出し、兄の前で泣き叫ぶ妹を食らうのだ。
それを想像しただけでトロリとした液体が全身から染み出す。
「グググ」
ああ、早く早く。
まだかまだか? 早く燃え尽きろ。
「あう?」
光が消えない。
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