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六章『ピクルス編』
第1025話 純悪の魔獣15
しおりを挟む「わっはっはっ!!」
シチューが笑う。
「何がおかしい」
「おにぃちゃん、あれに何を言っても無駄だよ」
人間がシチューの思考を理解出来る日は来ないだろう。
「ヴォオオオオオオオオオオン!!!」
シチューが遠吠えする。耳を劈く咆哮だ。
パロムアナウンスが聞こえる。
『はいはい、ちょっと待った、待てだシチュー』
「パロム!」
『やぁ、まだ生きているね。サガオ・サンライト、覚えててくれたみたいで嬉しいよ』
「忘れるわけがない!吐き気のする耳障りな声だからな!」
『美的センスがないね、ボクはこれでも白鳥の魔人、声には自信があるよ。まぁ自分自身を勇者だと勘違いしている陳腐なゴーストに何を言われても平気だね。実力で生き残ったと勘違いもしているようだし、本当にずぶとい甚だしいね』
「何が言いたいのだ」
『利用されていただけの存在だったってことさ。わざわざ家族を置いて魔界に自殺しに来て、敵であるボクの気まぐれで生き延びた、逃げて震えていればいいものをノコノコとこうしてまた遊びに来てしまった、今度は妹も連れてね』
「何が言いたいのだ!!」
『お膳立てをしたのさ。ボクは本当の絶望を見たいんだ』
「ッ!?」
サガオが空を見上げる。
漆黒長方形のてっぺんに誰かがいる。
「あれは……なんだ」
『ブラギリオン。四天王最強の男と言えばわかりやすいかな?』
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