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六章『ピクルス編』
第989話 敗戦
しおりを挟む俺たちは敗北した。魔王イズクンゾと四天王スカリーチェを取り逃してしまった。俺の力のなさが原因だ。バンズを噛み締める。
「はーなーせーです!」
収穫といえば魔王の娘たちだ。えらい苦労したが何とか捕まえることが出来た。さすがの彼女たちでも今のギアには適わなかった。
「妙なマネすんなよ、俺は次の仕事のことで忙しいんだからよ」
「一度でも抗うなら殺すって顔に出てるのに抗う人がいますか?」
「オディット、お前の言うことは信用しねぇがそいつらとは姉妹なんだろ、まとめで静かにさせとけ」
「わかりました」
彼女たちはギアたちに任せておけばいいだろう。念の為魔物たちは離れたところに置いている。アヴドキアが恨めしそうにこちらを睨んでいるがつとめて無視する。
「あれ三股槍(トライデント)は?」
戦いの最中でどこかにいったか?
ジゼルが答えた。
「クラーケン様たちが持って行った」
「ここじゃもう暮らせないもんな」
海月ヒトデは死んだのかな。胴体が無くなれば死ぬか。
「ここはどうなる?」
「大丈夫。千切れた足がそれぞれ巨大な海月ヒトデになるか。頑張って合体するかはわからないけど。生きてる」
「そうか、ならよかったか」
一段落だ。
まず俺は落ち着かなければならない。俺はまだ不味いと決まったわけではない。
「この海が割れてるのはどうするんだ? 神様がやってくれたんだよな。スキルも魔法も封じられていた状況でよくこんなことできるな。すごい助かったけどさ」
「そうだろうそうだろう!」
「おわ!?」
左半分しかない鎧がいつの間にか海底に降り立っていた。
「ソレガシの力ではないのだがな、ハッハッハ!」
じゃあなんでそんな自慢げなんだ。
「魔ウイルスという小さなバイ菌たちが海を病ませて海に海裂(うみさき)病という病を発症させたのだ。故にこれは自然的なこと、スキルも魔法もありはしないのだ」
「海を病ませた!? 無茶苦茶だ」
「無茶も苦茶もできるのが我ら上位神格よ」
「あれ全員上位クラスの神様なのか」
「違うなあれらはソレガシの下僕よ、一機ではそれほど強くはない、ソレガシは神軍を持つという神通力を持つ神だ!」
我者がずいっと近づく。
「1万年前の聖戦の再来。否、それを超える戦いがこれから起こる、いや起こっている」
「避けられないよな」
「ソレガシは戦いの神である前に、人族の神だ。ゆえに! 人族に加担する神を集めている。そして今回の敵将は魔王イズクンゾ。あのひよっこだった魔人の餓鬼が相手となる」
「失礼ですけど、そのら半分の体で大丈夫なんでしょうか」
大怪我だよな、これ。
「これは1万年前の聖戦での名誉の負傷だ、気分的には今の方が強い!」
心強い。
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