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六章『ピクルス編』
第987話 認識する悪魔
しおりを挟む「まっず! なんだこれっ!!! げええええおろろろろろろろろ!!!! ぎゃああああああーーーーー!!!!!」
イズクンゾが悲鳴をあげてのたうち回っている。
その間に齧られた部分の修復が終わる。
またとないチャンスだ……でもーー
「まず、かったのか、俺」
ショックで動けない。俺の中に眠るもう一個のハンバーガーがショックを受けている。
『不味い』その言葉は料理にとって一番聞きたくない言葉だ。
向こうもピンチだが、こっちもピンチなんだ。
そう言えばアイナ(赤ちゃんの時)が食べた時も腹を壊していたな……付着していた土埃のせいだろうと内心そう納得していた……けど、今はそれなりに身なりには気をつけていた……
ーーそうか俺は不味いんだなーー
涙が頬を伝う。
魔王が苦しみ藻掻く。
「何してんだ、バーガー」
ギアの声にハッとする。
「てめぇ、仕事中に何をボーッとしてやがる」
そ、そうだ、俺はやらなければ……ならない!
「そうだ、俺はまだ具材を挟んだ時に食べられていない! ちゃんと下拵えもしていない!皿に乗った状態でもう一度望めばいい!しかし俺を食べるのはお前じゃない!」
魔王がピタリと動きを止めた。
不自然な体勢だが、全身が筋肉の役割を果たす漆黒線状魔力で出来ているため不思議ではない。
「あーーーーーー『見えた』」
「は?」
「そうか『そこ』にいたのか。違和感の正体はこれだったのか」
いつものイズクンゾじゃない。
なんだどうした?
「番重岳人」
「な!?」
なぜ俺のリアルネームを!?
「その魔法陣、バンズの中にある魔法陣だよ、それよぉ、それこそが『あいつ』への糸口だったんだなぁ」
……嘘だろ。
「『女神』さ。俺様がいるのではと考えていた存在だ。よもや、よもや、いるのか。そこに、マジか」
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