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五章『チーズ編』
第738話 大戦争101
しおりを挟む「スー! 来てくれたのか!」
「もちろんなの!」
そういうスーの膝はプルプルと震えている、体もガタガタと今にも崩れ落ちそうになっている。
恐怖している、それでも来てくれたんだ。
「愚弟よ。邪魔するな、そこを退け」
「いやなの! どかないの!」
「要領を得ないやつだ。部屋の隅で震えて事が終わるのを待っていれば良かったものを」
魔王はスーの眼前に歩み寄る。
半泣きのスーがキッと魔王を睨みつける。両手を広げて俺を守るようにしている。
魔王の方が身長が高く見下ろして言った。
「不死とはいえ死の痛みは毎回あるはずだ。痛めつけられる前に退け」
「いやなの! 仲良くしてほしいの! あうっ!!」
魔王がビンタした。スーはすぐに前を向く。
「ほう、いつもなら泣き崩れるはずだが」
「痛いのなんて怖くないの! 他の生き物は死んだら死んじゃう圧倒的弱者なの! だから殺しちゃダメなの!」
「死を優先させすぎだ愚弟。日々の生活の質の向上。ダラダラと戦い続けることによって増え続ける戦死者の総数。お前が一番よく知っているだろう」
スーはお腹に手を当てる。
「死んだ皆はもっと生きたがってたの! 悔しがってたの! 夢なかばで悲しんでいるの!」
「ちぃ、そういう者を生み出さぬように、ここで最後の犠牲を払うと言っているのだ」
「そんな必要ないの! 皆が剣を置いて仲良くすればここで全てが解決するの!」
「それは未来予知か? お前が吸収した者の中にそういう特異体質を持っているものがいるのか?」
「そうなの! でないと取り返しのつかないことになるの! ぼくはどうなってもいいの! だから許してあげて欲しいの!」
「許す許さないではない。それに此度の犠牲程度今までの死んで行った者の数に比べれば小指ほどにもならぬ。言葉を返そう、それで全てが丸く済むのだ。スー、最後だ。退け」
「どかないの!」
「そうか・・・・・・、ならば仕方あるまい」
魔王は踵を返して距離を取る。そしてスーに向き直る。
「犠牲は増えるが、神々の誓約に触れようと無理にでも勇者を殺す」
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