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五章『チーズ編』
第697話 大戦争72
しおりを挟む「んぁ、出迎えだ」
クロスケは前方を見る。俺たちも視線を下から前に戻す。
前方から現れたのは二人の騎士だ。
一人は大きなコウモリの翼を持った漆黒の軽鎧に身を包んだ悪魔騎士。もう一人は大きな鷲の翼を持ったお揃いの装備をした鳥人騎士だ。
二人ともその立派な翼を羽ばたかせずにその場に停空している。魔法を使って飛んでいるのだ。クロスケも足場に魔力を固めて空に立つ。
「私はブラギリオン様直属の配下。悪魔騎士ガルゾム」
「同じく鳥人騎士クゾール」
ブラギリオンというワードにジゼルが反応する。
「ブラギリオン・・・・・・」
「九大天王のことだよな、知っているのか?」
「昔。会ったことがある。底の見えない恐ろしいやつだった」
クロスケはカカカと笑う。
「おいコラ舐めてんのか? ブラギリオンにはもっと上の部下がいただろうが、というかブラギリオンを出せ。テメェらじゃ相手になンねぇよ」
「ふ、下を見られよ」
クロスケは素直に視線を外して下を見る。民家からゾロゾロと漆黒の騎士達が出てくるところだ。
「家でなにしてた?」
「お茶をしていたのです」
「カカカ!!!」
クロスケは大声で笑った。
「カカカ!! カカカカ!! あー、おもしれぇなあ戦争中だぜ? それをお茶だぁ? やる気あんのか」
「ないです。ブラギリオン様はやる気がないのです。ですが、それなりに働かなければならないのも事実。なので我々ブラギリオン直属の配下である『漆黒部隊』が御相手致しましょう」
「ふぅん。ま、俺は戦闘狂じゃあねぇからいいけどな」
どの口が言ってんだ。
「だから別に戦いたくねぇならいいんだ。俺たちゃ勝てればそれでいいからな」
ガルゾムはホッと胸をなで下ろす仕草をした。
「よかった。もし我が主人と戦いたいなど仰ったらどうしようかと」
「その心配はいらねぇよ」
「では、我々と戦ってください」
「それも嫌だよ。お茶会なんて俺はごめんだ。ほらあっち見てみろ」
クロスケは首を動かして誘導する。そこは先鋒として送り込まれた精鋭(エリート)部隊たちが戦っていた。
「行くならあっちだろ。ここで無駄死にするよりいいと思うぞ」
「そうでござるな」
「ブラギリオンか」
クロスケが視線を前に戻すと、僅か数メートル先に今までいなかった男がいた。クロスケがブラギリオンと呼んだそれはクロスケの死線を受けても意にも返さず続けた。
「その方がいいでござるな。じゃあ漆黒部隊らあの騒いでる所に行くでござる」
「はっ!!」
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