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四章『トマト編』
第544話 礼儀杯7
しおりを挟む一週間後。大会前日。
一日の作業を終えた私はぼんやりと兵舎の自室から外を眺めます。城壁より高いので城下町が一望できます。日は完全に沈みましたが、街の灯りが王国を照らしています。私はこの景色が好きです。
「おにぃちゃんもこの景色見てたのかな?」
いま私が使わせてもらっているこの部屋は、元々おにぃちゃんが使っていた部屋です。最初にここに入った時、おにぃちゃんが任務に出た時の状態のままでした(なのでほとんど触っていません)
私はこの時間になると夜景以外にももう一つあるものを眺めます。
壁に掛けてある双剣です。これはおにぃちゃんの愛用していた聖剣です。魔界で隠密行動を行うには聖剣は目立つそうで、おにぃちゃんはこれを持っていけなかったのです。
双子の聖剣サンザフラ。太陽のマークが入っているのがサン。花のマークが入っているのがフラです。
王様は私が使うべきと聖剣を没収しないでくれました。でもまだ一度も触ったことがありません。
双剣の練習はしてきたけど実践で使えるかどうか。
不安は残ります。でもやらなければならないのです。
私はサンザフラを手に取ります。ずっしりと重い。それでもしっくりくる。不思議な感覚です。
「明日はサンザフラで戦うよおにぃちゃん。私に力を貸してください」
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