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四章『トマト編』
第516話 壁越え
しおりを挟むトランテス王国に帰った俺たちは真っ先に王城に向かった。そして王さまに起こったことをありのままに話した。
話を聞き終えた王さまが大声をあげた。
「おお! 九大天王を! これはここ数十年で一番の朗報でーす!」
王さまは手放しに喜んでいる。その様子を見て隣に立つクレアがため息をつく。それから諭すように言った。
「王さま。最も遠い場所とはいえ九大天王が現れたのは王国領土内です」
「シット! そうやな!」
どうやら九大天王クラスの幹部が王国領土内に現れたのはとても久しぶりらしい。
「魔界で何かあったのかーな。気になりまーすね」
王さまは椅子に座ったまま屈んで手を組み。口調はふざけているが真剣な顔をしている。
その様子を横目にクレアが俺たちに向き直る。
「勇者様、こちらからも報告がある」
「なんだ?」
「Mソードの取説が光っているんだ」
そう言うとクレアは事前に準備していたのだろう。手早く木箱を取り出して取説を取り出す。
確かに光っている。
「光り始めたのはちょうど君たちが九大天王のラーメンを倒した時刻と一致している」
つまり取説が言っていた『壁』というのは九大天王の事だったのか。もしくは同じ食材系の人を倒したからだろうか? それは分からない。だが確認する必要がある。
「机に置いてくれ」
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