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四章『トマト編』

第438話 執事

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「やーやー!」

 アイナの朝は早い。宿屋の前で剣の素振りをしている。
 もちろん俺も付き合う。ウィルの短剣を振り回す。

 いつもと違うことといえば、この場にクゥがいることだろう。
 俺たちの朝練を眺めている。というか俺たちが起きた時には完璧に支度が終わっていた。朝に強すぎるだろ。

「ストップ」

 そう言ってクゥはアイナに近づくと、テニスコーチが振り方を教える容量でアイナの手首を掴む。

「こう。さっきの少し高い」
「はい!」

 ミリ単位での微調整。クロスケとの戦いでアイナの剣筋は鋭くなった。クゥはそれをさらなる高みに昇華させようとしているのだろう。

 本能のまま戦ったからな。これからは知的にもならないといけない。

アイナは素振り、または突き、さらにここまでの旅でエリノアが使った剣技の真似をした。

 その都度、クゥから調整が入る。

 ん?
 というか、俺の修行は?

「バーガーはこれを使いなさい」

 クゥが手を上げると執事が現れる。魔法かな?
 否否。訓練された執事なのだろう。どこからともなく現れた。

 執事は木箱を持っている。

「お嬢様、このような物を持ち出しては・・・・・・」
「構わない」

 クゥの言葉を聞いた執事はキビキビした動きに戻る。たぶん言ったら聞かないんだろうな。

 執事が開けた木箱からは見慣れた剣が出てきた。

「Mソード!?」

 そう、伝説の剣、Mソードだ。

「おいおい、Mソードは王城の保管庫に厳重に保管してあるはずだろ?」
「だからスタンに盗らせた」

 クゥの視線は執事に向けられる。スタンっていうのはこの人のことか。って、執事になんてことさせてんだよ。てかよく盗めたな。

 許可くらい取れよ。王さまなら一言でOKしてくれるだろうに。

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