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四章『トマト編』

第429話 もみくちゃ

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 ポツンと残された俺たち。き、気まずい。

 クゥがこっちを見つめてくる。

「なんでしょうか。私たちに何か、きゃ!」
「アイナ!」

 クゥはアイナの体をまさぐる。アイナよりも背も小さく華奢だが、クロスケのあの一太刀を止めるほどの力の持ち主だ。アイナがしっちゃかめっちゃかにされている。

「離し・・・・・・や、ん。バーガー様ぁ」
「やめろ! クゥ!」

 アイナの涙声に俺は筋肉の精霊を使って止めに入る。

「ウオッ!?」

 筋肉の精霊の腕が吹き飛んだ。

 切断された右腕が少し遅れて地面に落ちる。
 クゥは抜刀していて振り抜いたあとだった。
 ゆっくりとした動きで白い剣を腰に収める。

「離してください! バーガー様の前でこんなこと・・・・・・あぁ!」

 突然クゥはアイナを解放した。アイナはその場に蹲る。

「大丈夫か! アイナ! ってうおお!!?」

 クゥは今度は俺を鷲掴みにする。そして顔元に近づけて、むにむにといじり出す。

「くっ! やめろ! 食べ物で遊ぶんじゃない!」

 クゥは俺の弾力を確かめたりバンズをめくったりしている。
 生まれた時にもやられたが、今はアイナの前だ。それに純粋にこいつ怖い!

 そしてクゥはバンズの隙間に指を入れようとして、手を離した。

 クゥは不思議そうに自身の指を見つめている、それから俺に視線を戻す。

 拾い上げて、クゥは口を大きく開ける。
 待て待てまてまてまて!! 落ちた食べ物を口に入れるんじゃない! 違う! やめて! 助けて!

「バーガー様に触れるな!」

 アイナが細剣を抜き、突きを繰り出す。

「くっ!」

 クゥは剣すら抜かずにアイナの刀身を素手で掴んで止めた。

 ビクともしないとわかったアイナは細剣を離して弓矢を構える。
 クゥはアイナの細剣を回転させて柄を握る。そして手首だけの力で投擲。

 アイナの弓を弾き飛ばした。
 それでもアイナは矢を掴んで襲いかかる。

 今度は矢を持つ手首を掴まれて捻られる。
 クゥの力に抗えぬまま組み伏せられる。

 圧倒的強さだ・・・・・・。俺は食われるしかないのか?




「分かった」

 クゥはそれだけ呟くと、俺たちを解放した。


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