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四章『トマト編』
第408話 未熟な勇者
しおりを挟む俺は的中率120%(5回に1回2回当たる)を誇る占いばぁさんに勇者だと占われた。
だが、俺はまだ完全な勇者じゃないのか・・・・・・。
王さまが眉をひそめて唸る。
「うーむ。うぐぐ」
「どうされました王さま」
王さまも俺の不甲斐なさに幻滅したのだろうか?
「さっき食ったキャビアがあたったかもしれない」
務めて無視しよう。
「ウソウソー。イッツァ王さまジョーク」
「俺は勇者として未熟です」
「ま、そんな落ち込まないでさ。未熟ならさっさと完熟してきなさいよ」
「と、いうと?」
「こんなこともあろうかと学校で特別授業をするよう指示を出してまーす」
「特別授業?」
「修行でーす。そろそろそういうのが欲しいでしょ?」
さすが王さまわかってらっしゃる。
「ありがとうございます!」
「冒険はしばらく我慢してくださーい。私が信頼の置ける人に特別授業をお願いしましたー、中途半端でまかり通ると思わないでくださーい」
「はい!」
「では、健闘を祈ってまーす」
王城を後にした俺たちは、それぞれの場所に戻って行った。
Mソードは王国で預かってもらうことにした。泥棒とか怖いからな。勇者しか持てない剣と言ってもその希少価値だけでいくらでも買い手がいるだろう。運搬方法も確立されているしな。
まぁ、ここは王都だ。例の魔物以外に目立った悪党の話は聞かない。治安は他の街に比べてもいい。
と、宿の部屋で考えているとドアが吹き飛んだ。
「てっ! 敵襲です!」
アイナはパジャマのまま俺を抱くと、直前まで机に向かって嬉しそうに日記を書いていた少女とは思えない素早い動きで窓を開けて部屋を脱出する。
ここは2階だ。アイナなら余裕で飛び降りれる。
俺を両手に持ちつつもしっかりと受け身をとったアイナが呟いた。
「部屋に武器を置いてきてしまいました」
「俺も薬草しか咥えてない」
「逃げますか?」
「もちろんだ」
2階の窓が吹き飛ぶ。何が襲って来てるんだ!?
窓を吹っ飛ばした者が俺たちの前に着地する。腕を組んでギラリと笑っている。
「何も逃げるこたァねぇじゃねぇか」
「誰ですか貴方は」
「俺か? 俺はクロスケだ。よろしくな」
そう言って佇むのは黒猫の獣人だった。
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