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四章『トマト編』
第405話 とりせつ1
しおりを挟む王国に戻った俺たちはその足で王さまに会いに行った。
王さまへの謁見はゆるい番兵が生返事一つで許可してくれた。
「ただいま戻りました!」
「よく戻りました」
「これが伝説の剣。Mソードです」
アイナが持つ木箱をクレアが受け取る。
クレアは王さまに木箱を開けてみせる。王さまはMソードをまじまじと見つめる。
「これが伝説の剣。名をMソードと言いましたね」
「はい。伝説山の地下洞窟にありました」
「ほーう。そうかそうか、どれ」
「あ」
王さまがMソードを持ち上げる。
「王さま! それは持たない方が」
「え、なんで? うっわ! めっちゃ重たくなってきた! こっわ!」
王さまはMソードを放り投げる。
おい! 伝説の剣を投げ捨てるな!
「いやぁ、ビックリした、何この剣きっも!」
クレアが苦言を呈した。
「王さま。この剣は人類を救うかもしれない伝説の剣です。丁重に扱ってもらわないと困りますよ」
「マジごめんて、人類を代表して謝るから」
王さまはごほんと咳払いする。
「では、クレア例のものを」
「はい」
例のもの?
クレアが持ってきたのは、いかにもって感じの宝箱だ。
「どうぞ」
「すまないが開けてもらっていいか?」
「ん? わかった」
俺たち、宝箱にはトラウマがあるからな。
クレアが開けた宝箱を俺たちはのぞき込むようにして見る。
中になるのは立派な鞘だ。
金色がメインであとは銀色。各所に宝石が散りばめられている。
「王さま、これは」
「それは伝説の剣の鞘とされているものでーす」
鞘あったんかい!
「これに入れれば誰でも運ぶことができまーす」
「なんでそんなこと知ってるんですか? さっきはMソードの性質もわからなかったのに」
「さっきのは王様ジョーク。取説に書いてありまーした」
取説あんのかよ!
「でも知っているのと実際に体験するのとでは雲泥の差でーす。思っている以上にきもい剣でーす。呪いの剣かと思いまーした」
「王さま。言い過ぎですよ」
「人類代表」
「謝罪を略さないでください」
「ごめんなさい。さて、バーガー、取説読む派?」
「読む派です。それもじっくり」
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