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四章『トマト編』
第399話 モンスターパニック4
しおりを挟むニードルハックは目の前のオショーに集中している。
ボロボロ落ちる魔物たちは聖騎士たちが相手をしてくれている。
俺はアイナと数十名の聖騎士たちを連れて伝説山を下る。
常人ならこの速度で山を下れば枝や、不安定な足場で転倒してしまうだろう。
だが、俺を乗せて走るアイナはエルフだ。
子供の頃から森で遊び、夜には秘密のレッスンを受けた精鋭中の精鋭だ。
アイナは時には木の枝に乗り、まるで忍者のように山を滑り降りていく。
「速いな」
「ありがとうございます!」
「このまま行けばすぐにつく」
「はい! 周りに気をつけます!」
「む! アイナ止まれ!」
「え! わわ!」
アイナは前のめりになりながらも、木の枝に留まる。
向こうから魔物の大軍が迫ってくる。
どうやらニードルハックの足元から出てきているようだ。
波のように魔物が迫る。
生き物の動きじゃないな。本当に棘の一部として動かされているんだな。
棘を抜けば正気に戻せるかもしれないが、それはそれでただの魔物に戻るだけだ。
それじゃ意味が無い、やはり倒すしかないんだ。
聖騎士たちはまだまだいる。十分に戦える。
だが混戦は免れない。戦いが長引けば、それだけ被害が拡大する。
「ブモォー!!」
背後から声がする。俺が振り返ると、そこには斧牛(アックスブル)のモーちゃんの姿があった。
「とまるのー! はやいのー! こわいのー!」
スーが必死にしがみついている。
モーちゃんは俺たちを追い越して、魔物の波に衝突する!
「モーちゃん!!」
「ブモォー!!」
ボウリングでストライクを出した時のように魔物たちが吹き飛ばされる。もちろんボールはモーちゃんだ。
片方の角を失っているのにも関わらず、魔物たちを一撃で吹き飛ばす。
「モー!!」
モーちゃんは俺たちに先に行けと言ってくれている。
「ありがとう! アイナ行くぞ!」
「はい!」
スーはこっそり死んでいた。
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