上 下
386 / 1,167
四章『トマト編』

第386話 伝説の剣を抱いて9

しおりを挟む

 リーチだった蛭の塊は弾け飛ぶ。飛び散った蛭が弱々しく蠢いている。

 再び合体する気配はない。

 なんだこの威力は!? 俺がMソードの力に困惑していると、背後から笑い声が聞こえた。

「クスクス。なーに殺った側が困ってるんスか。伝説の剣は神クラスの聖剣っスよ? 雑兵を薙ぎ払うことなんて造作もないっス」
「神だと」

 スーと同じクラスというのか?

 ・・・・・・なんかそれだと強く感じないな・・・・・・。

「ほら試し斬りには打って付けのがまだ残ってるっス」

 スカリーチェの言葉を聞いたクリスが一歩後ずさる。

「いや、あれは・・・・・・いけるのか?」

 なんだかいけそうな気がしてきた。俺はMソードを構えて跳ねる。

 クリスの体は魔法を跳ね返す。跳ね返された魔法は威力が増大していた。

 このMソードのさっきの攻撃が魔法によるものだとしたらどうなる?  さらに強い力で跳ね返されるのか?

「ええい! ままよ!」

 クリスも覚悟を決めたのか拳を振り上げて俺に殴りかかろうとしている。
 だが、俺の方が圧倒的に速い。クリスの股下を潜り抜け、背後から斬りつける。

 ボゴンッと爆発音をさせてクリスの背中が爆発する。
 クリスの能力? 否、Mソードの力だ。

「さすがっスね。最強の聖剣ともなると魔を断つ力も絶大っス」

 クリスは前のめりになりつつも裏拳で俺を狙う。
 俺は避けずにMソードで迎え撃つ。

 またしても爆発するような威力でクリスの腕が吹き飛ばされる。クリスはバランスを崩して膝をつく。

 俺はトドメにクリスの頭を斬り裂く。頭部を失ったクリスの体は力なく崩れる。

 スカリーチェが拍手をする。

「本来のMソードの力は引き出せてないっスけど、なかなかやるじゃないっスかー」
「勇者舐めるな」
「クスクス。じゃあ後1頭くらいいけまスね」

 いたずらに笑うスカリーチェの視線の先に人影が・・・・・・。

「ニードルハック!」

 今度は棘の魔人ニードルハックが現れた!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

ちょっとエッチな執事の体調管理

mm
ファンタジー
私は小川優。大学生になり上京して来て1ヶ月。今はバイトをしながら一人暮らしをしている。 住んでいるのはそこらへんのマンション。 変わりばえない生活に飽き飽きしている今日この頃である。 「はぁ…疲れた」 連勤のバイトを終え、独り言を呟きながらいつものようにマンションへ向かった。 (エレベーターのあるマンションに引っ越したい) そう思いながらやっとの思いで階段を上りきり、自分の部屋の方へ目を向けると、そこには見知らぬ男がいた。 「優様、おかえりなさいませ。本日付けで雇われた、優様の執事でございます。」 「はい?どちら様で…?」 「私、優様の執事の佐川と申します。この度はお嬢様体験プランご当選おめでとうございます」 (あぁ…!) 今の今まで忘れていたが、2ヶ月ほど前に「お嬢様体験プラン」というのに応募していた。それは無料で自分だけの執事がつき、身の回りの世話をしてくれるという画期的なプランだった。執事を雇用する会社はまだ新米の執事に実際にお嬢様をつけ、3ヶ月無料でご奉仕しながら執事業を学ばせるのが目的のようだった。 「え、私当たったの?この私が?」 「さようでございます。本日から3ヶ月間よろしくお願い致します。」 尿・便表現あり アダルトな表現あり

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

処理中です...