上 下
364 / 1,167
四章『トマト編』

第364話 怪物の眠る森13

しおりを挟む

 会議室には聖騎士大隊長のオショー、勇者の俺と相棒のアイナ、そしてこの任務の間だけ冒険者たちの リーダーを務めているフォーカードの計4名がいる。

 口火を切ったのはオショーだ。

「では、怪物の眠る森の攻略会議を行います」
「はい!」

 アイナは紙とペンを持っている。秘書係だ。

「先程、二度目となる伝令を出しました。この伝令が届けば半月ほどで援軍が来ると予想されますな」

 フォーカードが質問した。

「その間はどうする?」

 ここは俺たちの考えを言うべきだろう。

「あの棘の魔人、ニードルハックと言ったか、やつは魔人を捕食していた」
「それは私も見た」
「その前には魔物も食べていた。魔物や魔人は同族を捕食することでも力をつけるんだったよな?」
「その通りだ」
「単純計算でニードルハックは魔人二人分以上は強くなっていると見ていいだろう」

 現実は魔力の吸収効率もあって、そう上手くはいかないらしいがな。

「この森で一体だけ強い個体が生まれた場合。そいつがこの森の魔物を食い荒らし瞬く間に成長。なんてこともあり得るだろう。俺たちに時間はほとんど残されていないのかもしれない」

 それを聞いたオショーが唸った。

「むぅ。勇者様の言葉も頷けますな」
「だから俺は全軍で怪物の眠る森に突入して、手当たり次第に脅威の排除をしたいと思う」
「全軍とはそれはまた思い切りましたな。ここの警備はどうされるのです?」
「それはもう移動するしかない。怪物の眠る森は深い。だが食料となる魔物もいるし、森での生活に長けたアイナや、冒険者たちもいる。それにここにいるのは鍛え抜かれた聖騎士や冒険者たちだ。森で自給自足しながらの進撃は十分に可能だと思う」

 それを聞いたフォーカードが顎に手を当てて呟く。

「それなら魔人たちの動向を探り、同時に伝説の剣を探せる」
「脅威の排除と、目的の達成。この2つが同時に行えるというわけですな」
「戦略について俺は素人だ。俺が勇者だからといって甘やかさないでくれ」
「いえ、時として大胆な行動力が要求されることもありますぞ。それには決断する勇気が必要です。勇者様は今それを我々に示したのですぞ。聖騎士側として賛成します」
「ああ、オショーさんの言う通りだ。こういう時こそ何より攻めの姿勢でいることが重要だ。冒険者側も勇者様の意見に賛成させてもらおう」
「よし! ならば全軍を持ってして怪物の眠る森を攻略するぞ!」
「おおー!!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

ちょっとエッチな執事の体調管理

mm
ファンタジー
私は小川優。大学生になり上京して来て1ヶ月。今はバイトをしながら一人暮らしをしている。 住んでいるのはそこらへんのマンション。 変わりばえない生活に飽き飽きしている今日この頃である。 「はぁ…疲れた」 連勤のバイトを終え、独り言を呟きながらいつものようにマンションへ向かった。 (エレベーターのあるマンションに引っ越したい) そう思いながらやっとの思いで階段を上りきり、自分の部屋の方へ目を向けると、そこには見知らぬ男がいた。 「優様、おかえりなさいませ。本日付けで雇われた、優様の執事でございます。」 「はい?どちら様で…?」 「私、優様の執事の佐川と申します。この度はお嬢様体験プランご当選おめでとうございます」 (あぁ…!) 今の今まで忘れていたが、2ヶ月ほど前に「お嬢様体験プラン」というのに応募していた。それは無料で自分だけの執事がつき、身の回りの世話をしてくれるという画期的なプランだった。執事を雇用する会社はまだ新米の執事に実際にお嬢様をつけ、3ヶ月無料でご奉仕しながら執事業を学ばせるのが目的のようだった。 「え、私当たったの?この私が?」 「さようでございます。本日から3ヶ月間よろしくお願い致します。」 尿・便表現あり アダルトな表現あり

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

処理中です...