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四章『トマト編』
第348話 貢物
しおりを挟む旅は順調だ。
何せ旅で危険なのが野営なんだか、俺たちが野営する際、同じタイミングで出立した、いくつかの冒険者パーティが近いところで野営をしてくれるのだ。そのおかげで、互いに見張り合えるので、比較的安心することができる。
こういう所で協力するのは、さすがは生き残ってきた者たちと言えるのだろう。
「バーガー! これみてほしいの!」
おやおやスーが呼んでいる。
「どうした?」
「これおとなりの人たちからもらってきたの!」
スーが抱えているのは大きな葉っぱに包まれた肉だ。
「・・・・・・こんなにもらったのか」
「スーのすごさにかんめいをうけてみついだにちがいないの!」
俺はスーが来た方にあるキャンプを見る。一番近いところで顔も見える。こちらを向いてナイスガイがにこやかに親指を立てている。
うん、貢いだんじゃない。
恵んでもらったんだ。
「ぼくってすごいの! こうすればお肉たくさんあつまるの! ほかの人たちからもみつがせるの!」
「もう十分だろ、やめなさい。人々が貧困で苦しむぞ」
「むー! それはよくないの! やめるの!」
「にゃんだその肉?」
「スーが貰ってきたんだ」
「そうにゃんだ、見たところ魔物の肉だにゃ。それにゃら丁度いいにゃ」
「何が丁度いいんだ?」
「バーガーにゃにか忘れてにゃい?」
「俺が忘れるわけないだろ」
「混合肉を作って合成魔法を色々試すって言っていたじゃにゃいか」
「あー、すっかり忘れてた」
「もうしょうがにゃいにゃあ」
「すまん」
俺はバンズのクラウンの部分を前に出してベロベロさせる。ハンバーガーがよくやる許してほしいのジェスチャーだ。
「そこまで謝ることでもにゃいでしょ。ほら、ミーの用意した魔物肉と、スーが貰ったきたその魔物肉を使って試してみようよ」
「よし! やるか!」
その時だ、背筋に寒気が・・・・・・背筋ないけど。
振り返れば、テントをセットし終えたアイナが、テントから顔だけを出してこちらを見ている。
「あ、アイナも一緒にどうだ?」
「いいです。私はちょっとそこまでいってトレーニングしてきます」
アイナは行ってしまった。あわわ!
こ、こんな時はどうしたらいいんだ!?
「ぷっ。バーガーの狼狽っぷりは中々の見世物だにゃ」
「う、うるさい。でもどうしよう」
「そんにゃの簡単だよ。疲れて帰ってきたアイにゃにうまい料理を出してやるだけだよ」
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