345 / 1,167
四章『トマト編』
第345話 万全の態勢
しおりを挟む翌朝。宿屋の一室。
「それでは今回の作戦会議を行う」
「はい!」
俺たちの部屋にはアイナ、エリノア、スーがいる。
その3人が丸いテーブルを囲んでいる。俺はテーブルの中央だ。視線が集まる。
「今回の勇者パーティの一番の目的は怪物の眠る森にて『伝説の剣』を発見することだ」
「はい!」
「にゃあ、バーガー」
「なんだ?」
「伝説の剣ってなんていう剣にゃんだ? 名前(にゃまえ)で呼んだ方がわかりやすくにゃい?」
「知らない」
「知らにゃいの?」
「王さまも見たことがないんだ」
「本当にそんにゃ剣あるのかにゃあ」
アイナも言っていたな。だが俺には確証があるなぜなら。
「ハンバーガーの勇者がいるんだ、伝説の剣けんくらい余裕である」
「ははっ、それもそうだにゃ」
「でもでもバーガー様」
「なになにアイナさん」
「さんづけはやめてください」
様づけしてる人に言われましても。聞きますけども。
「その運搬中に襲撃してきた『何か』というのはなんなのでしょうか?」
「さぁな」
その時、ドアがノックされた。
「開いてるぞ」
「会議なう?」
現れたのはジゼルだ。
「ジゼル、どうしてここに?」
「王さまが、王国側から兵を出すと言っていたと思う、その1人が私」
そういいつつ、ジゼルはエリノアの隣に座る。
「そうか、それは頼もしいな」
「大船に乗ったつもりでいて」
「ああ。そうだ王国魔導師のジゼルなら今回のことで何か知ってないか?」
「運搬隊を襲った『何か』のこととか?」
「そうだ」
「分からない。聖騎士隊長クラス以上で構成された運搬隊が全滅、その後の調べで現場で戦闘があったことまでは分かっている」
「100年も前のことだが、危険性はあるのか?」
「ある。事件があるまでは、あの地の魔力濃度は高くなかった、と言われている」
「わかった、何かあると見た方がいいか」
「そう。油断は死を招く」
そう言うとジゼルは紙を取り出す。
これは・・・・・・。
「地図か?」
「そう。その怪物の眠る森辺りまでの地図」
かなり鮮明に書かれているな。
ジゼルが地図の一部を指さす。王都付近だ
「この辺りに聖騎士で編成された捜索隊がいる」
「もう出ているのか?」
「彼らが先に出て怪物の眠る森に拠点を作る。それは冒険者も利用できる」
「なるほど、万全の態勢だな」
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる