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四章『トマト編』
第343話 ナイスアイディア
しおりを挟む「このクエストなら、伝説の剣がある場所に近いですね」
「よし、ならそれを受けようか」
王さまとの話し合いから数日、学校が休みということもあり、俺とアイナは冒険者ギルドの2階に来ている。
伝説の剣が眠る場所に向うついでということで、その場所に近いクエストも受けて一緒にこなしてしまおうという魂胆だ。
「あ、でもこれはSクラスのクエストですね」
忘れていた。Fクラスのクエストはその殆どが王都内部か、もしくは王都近辺のものに限られている。
王都から離れるだけでも難易度が上がるのだ。
それも魔物の多い山や森と言った場所になればそれも顕著に現れる。
そして俺たちが今から向かおうとしているのはここから馬車で1週間の場所だ。
「この魔力調査っていうのは何でしょうか?」
「俺も知らないな」
「そ、それはね!」
俺たちが振り返るとシャニーがいた。オドオドとメガネを揺さぶっている。
「知っているのか?」
「う、うん。魔力濃度が異常に高い場所に定期的に出るクエストだよ」
「そうなんだ」
「ちょ、調査とは言っても濃い魔力に釣られてきた魔物と戦うこともしばしばだから、Aクラス以上のクエストになることがほとんどなんだ」
「今回はSクラスだな」
「場所が場所だからね」
「いわくつきなのか?」
王さまが言っていた場所は通称『怪物が眠る森』と言われている。名前からして何かあるとは思ったが、そこまでやばいところなのか。
「うん、魔物も多いからかなり危険な場所みたいだね」
そうか、それなら受けるのは諦めよう。行きはするがな。
「バーガー様、クエストは諦めて『怪物の眠る森』に行きましょうか」
「せやな」
「ちょ、ちょっと待って!?」
「なんだね」
「く、クエストは受けられないんだよ? どうして向かうの?」
「え、ああ、それとこれとは別の問題なんだ。俺は勇者としてそこに向かわないといけない。クエストは受けられたらいいなぐらいにしか思ってなかった」
「私たちお金ないので」
「アイナ、しー」
それに王さまからも兵士を出してくれるみたいだし、大丈夫だろう。
「話(はにゃし)は聞かせてもらった」
「・・・・・・エリノア、いつからそこにいたんだ」
エリノアは柱の影からひょっこりと顔を出している。
「『このクエストにゃら、伝説の剣がある場所に近いですね』からだよ」
最初からじゃねぇか。
「バーガーは体は柔らかいくせに脳みそは柔らかくにゃいね」
「どういうことだ」
「ミーと同じ方法を使えばいいんだよ」
「エリノアと同じ方法?」
「とは言ってもだよ、ミーの場合は偶然だったんだけどにゃ」
「話が見えないぞ」
「んふふ、Fランクのクエストを受けて、その時にSクラスの魔物を討伐するとどうにゃる? はいシャニー」
「え、ぼ、僕!?」
「いいから、さーん、にー、いーち」
「は、はい! その場合は特別にSランクまでランクが引き上げられます」
「ああ、エリノアが前に言ってたやつか」
エリノアはFランクのクエストを遂行中に、Sランクの小竜(ワイバーン)と鉢合わせて、それを討伐したんだっけか。
それで一気にSランクになったと。
「だが、あの場所に近いFクラスの依頼がないんだ」
「そんにゃの迷ったとか、テキトーに言い訳すればいいんじゃにゃいの?」
「ガバガバな作戦だな」
「あ、それならバーガー様。この薬草の納品クエストを受けてみてはどうでしょうか?」
「薬草採集か?」
「はい、これなら場所の指定もないですし薬草ならどこにでも自生しているので、怪物の眠る森でもできますよ!」
「なるほど近隣でとれると見越した依頼を逆手にとるのか」
「どうでしょうか?」
「パーフェクトだアイナ」
「ありがとうございます!」
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