弟に執着する兄の話 ─執愛─

躾 ５

　律動されるたびに受け入れている場所が痺れ、焼けつくような感覚しか
なかった。
　それでも最奥を、長大なもので突かれると悠の細腰がはね、見ようによっては誘っているようにもみえる。

「───うっ──あっ！ぁぁ───い、やぁっ！」

　悠にとっては翻弄されるしかなかった。
　嵐が過ぎ去るのを、ただ黙ってなされるがままに受け入れるしかなく、地獄の責め苦がはやく終わってくれるのを、待つしかない。

　白く細い両脚は力なく、そのたびに揺れた。
　内奥のものの硬度がぐっと増し、そのたびに悠を苛さいなむ。

「あ、うっ──あ、ぁぁぁ──あうっ！──もぅ、やぁぁ！」

　悠の肉襞は、瑛人の欲望をぎっちりつつみ、躰をすすめるたびに瑛人を悦ばせた。

「───くっ」

　危うくもっていかれそうのなところを、瑛人は眉を寄せて耐える。
　もっと、もっとという衝動にかられ、傍若無人に狭い内肛を凶悪にまで育ったものでかきまわす。
　
　腰が蕩けそうに悦よかった。
　それは、肉体だけの悦よろこびだけではなかった。
　
　積年の想い。
　ようやく手にいれた、かわいい弟。

　長年、悩んでいた自分がいっそう馬鹿みたいに感じた。
　外れた箍たがは瑛人を狂気にかりたて、限界まで張った欲望が解放をのぞんだ。

「───ゆう、受け止めろ」

　乱した息でそう一言いうと、悠の濡れた瞳が見開かれ、逃げようと躰をよじったが無駄な抵抗だった。
　瑛人は容赦なくその熱い欲望を悠のなかへ放つ。

「いゃ──あ！──あぁぁぁ」

　飛沫を最奥に放たれ、なかを濡らされる感覚に、悠の躰がびくびくと震える。
　熱い奔流が最後の一滴までを放たれると、瑛人はようやく腰を引いた。
　
「あぅ！······ぅ·······っ」

　内壁からずるりと、自分を苛んでいた欲望が抜かれ、ようやく終わったという安堵と、もう前のようには戻れない悲しい感情が悠のなかを支配した。
　抜かれた瑛人の凶器は、潤滑油と悠の血と、瑛人の白濁でおそろしく凶悪な色になっていた。

「舐めろ」

　力は失くしていても、それでも長大なものを眼前につきつけられながら、信じられないことを言われ頭を振る。
　これは悠にとって洗礼であり、瑛人にとっては必要な躾だった。

　初めて散らした血と、瑛人の白濁を含ませ、その味を躰だけではなく記憶にさえ刻みつける。
　顎を掴み、強制的に口を開かせると、長大なものをねじ込んだ。

「───んんっ！──っん·····ぅぐっ！·······ぅっ·····」
「咬むなよ───そんなことしたら、さっきの舞台以上のことをしてやる───そうだ、いい子だ───」

　苦しさと白濁の味と鉄のにおいに、悠はえずいたが顎をおさえられてはどうにもならなかった。
　同時に瑛人の言葉にも恐怖する。

　先程の少年の姿を思いだし、あんな事などきっと自分は耐えられないと思い、瑛人の言葉に従う。
　酷いことをされているのに、髪をなでる手は優しかった。