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CASE19 私と幼馴染みの異世界物語

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そして私は、帰り際にアゲハに預かっていた木箱を返した。

明日なんだからもいいかな?って思って。



桃華とは私の家で最後に二人で話したんだけど、、、

妙に怪しい漢方薬を渡された。


「ランじーに渡して!あと~、私の写真でしょ?おじいちゃんだから好きかな?って事で甘納豆!!」


全部ランへの異世界土産……なんだけど


「漢方薬………」


「なんか、腰にいいらしいよ?飲んだことないけど」


大丈夫かな?って思うような、怪しい物も混ざってる。


ラン宛のお土産を受け取ってから、桃華が急に真面目な顔になった。


「あのね、空………」


桃華が静かに口を開いて


ゆっくりと笑った。



桃華ってこういう笑い方できるの?って驚くくらい

大人っぽい、微笑み。



「最近思うんだ……私が大人になった時、生活環境が変わっていつか友達と離れ離れになる。LINEくらいはできたとしても、年単位で会わない人なんて大勢いると思う。だから、空とアゲハくんとの別れも同じ。“いつか”が早かったか遅かったか。距離が会えないほど遠くなるけど、友達であることは、一生変わらない……」


距離の問題じゃない。

気持ちの問題。


私も桃華のことは、一生の友達……親友だと思うよ。



「……でもっ!残念だなぁっ!空の結婚式に出れないなんて!」


急にテンションがいつも通りに戻った……けどっ!


「けっ……こん!?」


「するでしょ?アゲハくんと。いーなーっ!少女漫画の理想的な展開!!イケメン幼馴染みと結婚なんてさぁ!!」


結婚………するの!?

私が?アゲハと!!?



………想像つかないんですけど、、、



「や……分からないって。別れるかもだよ?」


「不吉ッ!!別れたらどーするのさ!?」


「うーん……日本に帰る?あ。じゃあ、もし日本時間で3年くらい経っても戻らなかったら結婚したと思っていいよ!3年って向こうじゃ12年くらいでしょ?いま、実年齢19歳なんだから、ちょうど適齢期かと……」



なんとなくだけど

30歳過ぎてアゲハ別れたとしても

日本には帰らないと思うけど。


何回も行き来するのは不安だし

それに、桃華と年の差が空きすぎて怖いし。



桃華とは最後まで、笑顔で馬鹿みたいな話で盛り上がった。

最後なのに最後じゃないみたいな、、、





**********





夜は家族と過ごす最後の時間。


並んだ料理はパーティーするの?ってくらいの量と数の品々が並んで

お父さんとお母さんは、ずっと笑顔だった。


桃華と同じで、泣いて別れるんじゃなくて笑って別れるを選択してくれたおかげで

しんみりすることもなく、楽しい時間を過ごした。







そして、ついに別れの日



約束の時間は16:55


学校の駐輪場


人に見られないようにするために、ギリギリの時間。


お父さんの運転でお母さんを含めた3人で向かったんだけど

車内はやっぱり、重たい空気。


新しい生活にドキドキしているのは私だけ


お父さん・お母さんにとっては……手放しで喜べない話。



「………わがままな娘でごめんね」


一言に、色々な気持ちを乗せて。



「空が選んだなら……空の人生なんだから、幸せに、なりなさい」


お母さんは外を見ながら静かに話して


…………涙を流していた。

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