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CASE16 世界が終わるまで

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「アゲハ……」


声を掛けたらゆっくりと私の方を向いたけど

明らかに顔は怒ってる……。


もちろんそれは、私にじゃなくて前にいる星将軍に向けて。



「……いいよね、人間って」


視線を戻したアゲハは

軽蔑してるような目で星将軍を見ながら口を開いた。



「人間ってだけでちょっとイイコトしたらワルイコトもなかったことにできる。
俺がいくら頑張ったって、人間じゃないから、信用されないし評価もされない。
信用を得るのに俺はすごい苦労してるのに……コイツはただ一回、町を守っただけでこの状況。
ホント………嫌になるよ、アンタも俺も、、この世界の全てが」


アゲハは手に持っている武器を強く握りしめていて、今にも飛び出しそうな勢い、、、

だけど、隣にいるレオンが制止しているんだって事は雰囲気から分かった。



「アゲハが生きやすい世界くらい、俺らが作るから……今は手を出すな。お前が手を出せばお前が不利になる」


「分かってるって……少しでも変な動きをしたら容赦しないけど」



星将軍は一言も喋らないし、アゲハはどー見たって話し掛けていい雰囲気じゃない。



だから、近くにいたシュナに話を聞いたら


この町が襲われた時に、星将軍が現れて

町を守る行動に出たんだって。


蟲や新人類を倒して、人々を守った。


でも、相手は救済者。


だから、レオンが武器を向けたら星将軍は抵抗せずに座って殺される覚悟を決めたっぽくて

それを見た街の人が星将軍を庇ったから殺すのは一旦やめるようにアゲハが言って


アゲハが話を聞こうと星将軍に声を掛けたら「ギルバート以外とは話さない」の一点張り。

ギルバートさんは今ここにいないからってアゲハが言ったら「花将軍の奴隷で新人類とは話す気になれない」って言われて………アゲハが一気に不機嫌になったし

町の人がアゲハを恐れるような態度に変わったんだって。



……そりゃ、アゲハも荒れるよね。


町を最初から守ったのはレジスタンスだし

アゲハが一番気にしている言葉をズケズケ言われちゃあ……私も嫌だもん。


とりあえず、私は星将軍は嫌い。確実に。



きっと、エドガーがいたらここで全力でアゲハを庇うんだろうね。

『アゲハは私の息子だ』って言って……アゲハを人間と呼ばなくても、アゲハが欲しい言葉をすぐに言うと思う。



だけど、エドガーはいないし、、

私もアゲハを奴隷だとか新人類だとかいう目で見ていないけど……なんて言ったらいいんだろうね?



私が悩んでいると現れたのはギルバートさん。

ちょっと疲れた様子だったけど、すぐにアゲハの隣に行った。



「アゲハは武器を降ろせ。アゲハの手は煩わせない」


「いや……大丈夫」


アゲハはそう言ったけどギルバートさんはアゲハの手を掴んで離そうとしなかった。



「『アゲハに無理をさせるな』ってエドガーの遺言だ。アゲハが手を出せばアゲハの立場が悪くなる。立場が悪くなればなんとかしようと無理をするだろう……。それは、エドガーが望む形じゃない」


そう言われたアゲハは目を見開いてから、静かに武器を消した。


エドガーは……すごいなぁ。

例え傍にいなくても、みんなエドガーの意思を尊重している。


エドガーだから、なんだろうね。



「ギルはズルい。そう言われたら俺、何もできないじゃん」


「何もって……十分すぎるほどやってくれてるだろ」


ギルバートさんはそう言って

ちょっとむくれてるアゲハの頭を軽く叩いてから一歩前に出た。



「で、話って?別に俺じゃなくても話くらい構わないが、、、」


星将軍は顔を上げてギルバートさんとアゲハを見てから


「あの女の奴隷とは話す気にならない」


って………言ったんだよ、、、

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