上 下
295 / 342
CASE15 いつかまた、会えたら…

6

しおりを挟む
涼くんは短く「そうか」って言って目を伏せて

次に目があった時にはかなり冷たい目に変わっていた。


「なら……こちらに来るか、俺に殺されるか二択しかない」


え?

何その二択……。


破壊者には行きたくないし、涼くんに殺されるのは嫌。

っていうか死にたくない!


「涼がこちらに戻る気は?」

「毛頭もない」


アゲハの質問は秒で切り捨てられたし……。



「どっちも嫌だよ……ねぇ、なんでこうなっちゃったの?」

「それは…互いの理想の違いだろ。俺は、俺が望むがまま、自由に生きれる今がいい」


桃華は泣きそうな顔になってるし、、


本当に……なんで、こうなっちゃったのかな?



「もうすぐ全てが終わるから……。最後にお前たちの顔を見るのも悪くないと思ったから今日は時間を取ったんだ。……だが、どうやら気づかれたみたいだな」


涼くんが不意にそう言って立ち上がった。


誰かからのテレパシー?



でも、待って!

私はまだ、話がしたいっ!!




「ねぇ、涼くん!」


涼くんはドアの方を気にしていたけど、読んだらこっちを向いてくれた。


「私の記憶が戻ったなら、ノアの手元には異世界の情報がなくなったよね!?それってノア的には許せない話なんじゃない??」


私の問いかけに、、涼くんは目を泳がせた。


何かを……隠したいのかな?

そんな様子。



「ノアの手元にすぐに手に入る。問題はない」


早口でそう言った瞬間

ドアが勢いよく開いた。



廊下にいたのはノアで


顔が………めちゃめちゃ怒ってる。




次の瞬間、私の身体が光ったんだけど

これは、アゲハの魔法。


それはすぐに分かったの。


涼くんの方を最後に見たら、寂しそうな顔で口を動かしていた。

声は、、聞こえなかったけど、、、


あの口の動きは



『さようなら』




光が止むと見覚えがあるエドガーの家のリビング。

目の前にはお茶を飲んでいるエドガーがいて、突然現れた私たちに驚いていた。



「話……は、済んだのかな?」


「話……全然できなかった、、」



そう言って桃華はポロポロと泣き出してしまった。





**********




一通り、アゲハからみんなに涼くんとの会話やアイさんが日本に戻った話を伝えた。


全員が引っ掛かったのは、涼くんが言った『もうすぐ世界が終わる』という言葉。


それから、エナメの町がやはり破壊者には知られていたという事実。



「って事はバルバドールやその他の…レジスタンスに賛同している町が狙われるかもしれないなぁ、、」


「もうすぐ世界が終わる……なら、そういう町を殲滅か?」


「創造主様は世界を更地にしてからやり直したいみたいだからな……ありえる。最初に狙うのは俺たちに縁がある土地だろうな」



幹部のみんなが危惧した通り



涼くんに会ってから一ヶ月後



ひとつの町が、何の前触れもなく襲われた。



狙われたのは、バルバドール。



アイリーンさんが住んでいる町。

しおりを挟む

処理中です...