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CASE14 私の記憶

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記憶が戻ったのはいいけど、とにかく頭痛くて気持ちが悪くて

誰ともロクに話す事もなく、とにかく眠った。





目が覚めた時は部屋は真っ暗、、、なのに、部屋の奥がぼんやり光っていて

起き上がって目を凝らして見たら、アゲハがソファに座っていて、その周囲にぼんやり光る光の玉がふわふわ浮いていた。


アゲハの、魔法だな~、、って寝起きの私でも分かったけど

灯り代わりを作ることもできるんだって驚いている私がいた。


灯りを作れる状況なら、たぶん今、起きてるよね?


「おはよう、アゲハ」


アゲハの背中に向って声を掛けたら弾かれたようにこちらを向いて

ちょっとオロオロした様子だったけど……すぐに落ち着いたみたい……?


「おはよう。えっとー……電気点けていい?」


アゲハの第一声がそれだったから

そこ?っ思いながらもアゲハらしいなって思った。



私が頷いたのを確認してから電気を点けて、魔法で出した光の玉を消した。


「すぐにエドガーも来るって」


「今までエドガーとテレパシーで繋がっていたの?」


「うん。暇だったから」


サラリと言ったけど、時計を見たら夜中だぞ?

暇ってか寝ようよ……。


さっきオロオロしていたのはエドガーと話してる時に私が声を掛けたからビックリしたのかもね。


「調子は……だいぶいいのかな?」


「うん。かなり……。あのさ、っ」



今までごめん



そう言いたかったのに、勢いよくドアが開いた……。



「ソラ!!!調子はどうだ!!!?熱は!!?気分は??何か飲むか!!?」


圧が強めにベッドに駆け寄ってきたエドガー。


すっっっごい心配してくれているのはすっっっごい伝わったよ。



「えっとぉ……気分もいいし、大丈夫だけど、飲み物は貰おうかな?」


私が答えたらエドガーは再び勢いよくドアを開けていなくなった。



「なんか……凄かった……圧が………」


エドガーらしいと言えばエドガーらしいけど。

エドガーがあんな風に心配する相手ってアゲハだけじゃなくて私もなんだってところが

すっごく、嬉しかったりするよ。



アゲハは笑っていて

それから、ベッドに近づいてきた。


「変な聞き方だけど……空は、全部の記憶がある空だよね?」


確認……なんだろうけど、確かに変な聞き方だね。


「うん。今まで何があったか、小さい頃からぜーーんぶ覚えているよ。……今までごめんね。アゲハに辛く当たったり、酷い事をたくさん言った、、」


なんとなく、バツが悪くて下を向いて話したんだけど、、アゲハは何も言ってくれなかった、、、


恐る恐る顔をあげたら、そこには不満気な顔のアゲハ。

いきなり両手を伸ばしてきて、ほっぺを両側、引っ張られた……!?



「当たり前でしょ?記憶がない状態なら疑心暗鬼にならない方が変だから。だから、謝る必要はない!」


グイグイ引っ張るから返事とかできないけどっ!!

言わせないようになのか、遊んでいるのか……グイグイ引っ張ってからパッと手を離してくれた。


「でも……」


「だから、もう謝らないで?確かにショックな時もあったけど……結果オーライって感じでしょ?」



アゲハは絶対に“謝罪”は受け入れてくれそうにない。


だったらね、、



「アゲハたちのおかげで、記憶がない間も無事に過ごせた。だから、ありがとう」


「どういたしまして。困った時はお互い様だよ」



アゲハがそう言ったタイミングで

色々な飲み物を持ったエドガーが現れた。

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