上 下
283 / 342
CASE14 私の記憶

11

しおりを挟む
その後は、アゲハさんがテレパシーで連絡をしたみたいで

ゼロさんが一番に現れて、有無を言わさずにアイさんをどこかに連れて行った。


レオンさんとアゲハさんの会話から、ニャンさんという人の下へ連れて行ったみたい。


「アイはとりあえず置いといて……まずはソラの事だな」


「あまり置いておきすぎるのもニャン様たちに悪いから……いい加減どんな手を使ってでも口を割らせようか、、」


「おぉ……アゲハがいつになくこえーな、、」


「あんな風に言われたらね、さすがに俺も傷ついたから。まぁ前向きに言うなら俺=危険な存在になったなら……俺が脅せば話しそうじゃない?」



レオンさんとアゲハさん。

会話内にちょいちょい怖い事言ってるけど、、アゲハさんは終始ご機嫌な様子で、、アンバランスな感じ。



「とにかく今は空の記憶についてだね。簡単に返すって話じゃない気がするから……まぁでも何が何でも解決させよう!」


私が今までで見た中で一番元気だし嬉しそうな様子のアゲハさん。


それからすぐに、ギルバートさんとエドガーさんが来たんだけど

アゲハさんの説明を聞いてすぐ、ギルバートさんとアゲハさんが移動した。



「アゲハの移動できる範囲は全部我々に関わる場所ばかりだからね。破壊者に居場所がバレても構わない地にギルバートの力で移動したんだよ」


移動する魔法は色々と条件があるし

テレパシーにもリスクがある。


簡単に教えてもらったけど、つまり私は待つしかできなくて、、

ゼロさんが再びこの家に一人で戻ってきて

私を含めた四人で、ギルバートさんとアゲハさんの帰りを待った。



約一時間後、二人は急に目の前に現れたんだけど……

笑顔のアゲハさんとは対象的に、ギルバートさんは険しい顔をしていた。


「これじゃあいい結果か悪い結果か分かんねぇ……」


って、レオンさんがボソッと呟いていた。





**********




アゲハさんの話によると、私の記憶を返す条件はただ一つ。



“火炎将軍の首と引き換え”



………誰?って思ったけど聞ける雰囲気じゃないから私は黙ってみんなを見ていた。


「火炎将軍が今どこにいるか位は教えてくれるって。レジスタンス的にいい場所にいる時は教えてもくれるみたいだよ」


「随分と親切すぎる。狙いは何だ?」


「火炎将軍がいなくなった後の将軍の座。同士討ちはマズい上に涼は第一将軍の監視がまぁまぁ厳しいんだって。だから、俺たちがやれば自分にとって有利だってさ」


「ふーん……つまり、今のリョウは将軍になるだけの技量を持ってる、、と、思った方が良い訳だな」


「ここまでの話は俺もよく理解できたし、俺たちに有利な状況で戦える以上は負ける要素は無い。俺たち四人でやれば……と、思ったが、、、」


ギルバートさんが言葉を止めて、深くため息を吐いた。


ギルバートさんは続きを話さなかったけど、代わりにアゲハさんが手を挙げた。


「俺が、火炎将軍を討つ」


この言葉にギルバートさんを除く全員がざわついた。

もちろん、私も……。


だってアゲハさん、戦えないって言ってたから、、、



「やらなきゃ、俺が。俺がやりたい」


「いや、待て。お前はまだ無理だろ?気持ちだって整理ついてないだろうし、、」



レオンさんは止めたけど、アゲハさんは「俺がやる」の一点張り。


ゼロさんもエドガーさんも止めたけど、アゲハさんの意見は変わらない。



「帰ってきた時、ギルバートさんの顔が険しかった理由はコレですか?」


聞かずにはいられなくて聞いたら、短く「あぁ」って返事をしてくれた。


「アゲハは稀に言い出したら聞かない時がある。その殆どが誰かのためって時で……だから、今回も折れそうにない」


「でもアゲハさん、戦えないんじゃ……?」


「だから困っている。さっきも二人の時に武器を出させたが武器を持つ手が震えていた。今のままじゃ、必ず死ぬな」



サラリと物騒な発言をしていたけど、ギルバートさんはそこまで分かっていても止められないらしい。


説得している三人も次々に言い負かされたみたい。



「だから、レオンが俺に稽古をつけてよ。レオンは得意でしょ?俺のけいこの相手はいつもレオンだったんだから」


「……ま、確かにそうだな。俺が稽古をつけて………駄目だって判断したらお前も諦めろ」



レオンさんの提案が最大の譲歩。


アゲハさんはそれを了承して、それから私に笑顔を向けた。



「待っててね。必ず俺が、空の記憶を取り戻すからね!」

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

社畜探索者〜紅蓮の王と異界迷宮と配信者〜

代永 並木
ファンタジー
井坂蓮二、23歳 日々サービス残業を繰り返し連続出勤更新し続け精神が疲弊しても働き続ける社畜 ふと残業帰りにダンジョンと呼ばれる物を見つけた ダンジョンとは10年ほど前に突如現れた謎の迷宮、魔物と呼ばれる存在が闊歩する危険なダンジョンの内部には科学では再現不可能とされるアイテムが眠っている ダンジョンが現れた影響で人々の中に異能と呼ばれる力を得た者が現れた 夢か金か、探索者と呼ばれる人々が日々ダンジョンに挑んでいる 社畜の蓮二には関係の無い話であったが疲れ果てた蓮二は何をとち狂ったのか市販の剣(10万)を持ってダンジョンに潜り己の異能を解放する それも3等級と呼ばれる探索者の最高峰が挑む高難易度のダンジョンに 偶然危機に瀕していた探索系配信者竜胆天音を助け社畜の傍ら配信の手伝いをする事に 配信者や異能者に出会いながら探索者として活躍していく 現2章

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

終焉の謳い手~破壊の騎士と旋律の戦姫~

柚月 ひなた
ファンタジー
理想郷≪アルカディア≫と名付けられた世界。 世界は紛争や魔獣の出現など、多くの問題を抱え混沌としていた。 そんな世界で、破壊の力を宿す騎士ルーカスは、旋律の戦姫イリアと出会う。 彼女は歌で魔術の奇跡を体現する詠唱士≪コラール≫。過去にルーカスを絶望から救った恩人だ。 だが、再会したイリアは記憶喪失でルーカスを覚えていなかった。 原因は呪詛。記憶がない不安と呪詛に苦しむ彼女にルーカスは「この名に懸けて誓おう。君を助け、君の力になると——」と、騎士の誓いを贈り奮い立つ。 かくして、ルーカスとイリアは仲間達と共に様々な問題と陰謀に立ち向かって行くが、やがて逃れ得ぬ宿命を知り、選択を迫られる。 何を救う為、何を犠牲にするのか——。 これは剣と魔法、歌と愛で紡ぐ、終焉と救済の物語。 ダークでスイートなバトルロマンスファンタジー、開幕。

闇の胎動

雨竜秀樹
ファンタジー
ハイファンタジーの習作です。 思い浮かんだ、いくつかのエピソードを短編集形式で掲載しています。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

呪う一族の娘は呪われ壊れた家の元住人と共に

焼魚圭
ファンタジー
唐津 那雪、高校生、恋愛経験は特に無し。 メガネをかけたいかにもな非モテ少女。 そんな彼女はあるところで壊れた家を見つけ、魔力を感じた事で危機を感じて急いで家に帰って行った。 家に閉じこもるもそんな那雪を襲撃する人物、そしてその男を倒しに来た男、前原 一真と共に始める戦いの日々が幕を開ける! ※本作品はノベルアップ+にて掲載している紅魚 圭の作品の中の「魔導」のタグの付いた作品の設定や人物の名前などをある程度共有していますが、作品群としては全くの別物であります。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

処理中です...