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CASE14 私の記憶

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きっと、この人は知っている。

私の傷痕の理由。



ただ、言いたくないのか、口を開かない。


周りの人もアゲハさんと私をチラチラ見ているから……理由はみんなが知っているのかもしれない。



「それは、必ず話すから……今はまず、空のこれからを考えよう。記憶喪失で間違いないけど医者に診てもらうべきだと思う。異界人にも偏見がなくて、記憶喪失になる前の空を知ってる医者に連れて行ってもいいかな?」


アゲハさんは結局、この場では答えをくれなかった。


医者に診てもらっても思い出せる気はしないけど、、、なんとなく、その方がいい気がしたから従った。



「ソラを医者に診てもらって、それからどーする?」


「ウチでいいでしょ。元々空が暮らしていた家にいた方が何か思い出すかもしれないし」


「ソラが嫌だと思ったなら私の家でもルーラの下でも、いくらでも場所はある」



男の人は私をどうするか話しているけど、、、

私はアゲハさんとは離れられないみたい。



初っ端がアレだったからあまりいい気がしないというか、身の危険すら感じるけどね、、、



それから、光の魔法って力で一瞬で別の町に移動して

連れて行かれた先にいたお医者さんも私を知っていたみたいで、記憶喪失な事にビックリしていた。


医者でももちろん記憶喪失の理由も治し方も分からなくて……なんかもう、色々と疲れてきた。



医者の診察が終わってから連れて行かれた先は一軒の家。一階の半分は店舗になっていた。

薬屋さんみたいで、色々な草や花の臭いのする店舗を抜けたらリビングとダイニング。



「おかえり……って、本当にいたんだ、、、」

リビングのソファには女の人が一人いて、私を見ていた。

私と同じで、丸い耳の……女の人。



私をまぁまぁ怖い顔をしながら見ていたけど、アゲハさんが説明をしたら表情を変えた。



私は記憶喪失になる前はソファに座っていた女の人・アイさんと同じ部屋だったらしく、アゲハさんは私を一人部屋にしようかとしてくれたけど、、断った。

同じ部屋の人といた方がいいかな?って思ったから。



案内された部屋も私の物も、やっぱり全部、知らない。


ただ、机の上にポツンと置かれた蝶の形のネックレスは、私のだって……なぜかそう思えたんだ。





**********





翌日から、私にとっては最悪な日々の始まりだった。



光の魔法ってヤツを使える人が次々にこの家に人を送り込んできたからで、、、

全員レジスタンスらしいけど、私は誰ひとり知らない。


似たようなやりとりを来た人数分繰り返すからマジで地獄。


最悪だったのは“桃華”さんに会った時で

散々「私が分からないの!?」って聞かれるし泣かれるし、、、


もう一人にしてほしいって、この家に来て三日目で切実に願うようになった。

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