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CASE11 心の中

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結局、私がアゲハと一緒に寝ることを

アゲハ自身は拒否しなかった。


アゲハの胸の辺りに私の顔があるんだけど、心臓の音が、よく聞こえるの。

心臓のある位置は核がある位置とほぼ同じ。

そっと手を添えたら「どうしたの?」って聞かれちゃった。


「前はかなり腫れて痛々しかったけど……今はもう、痛くはない?」


「今?うん、治りは人より早いみたいだからね。もうすっかりいいよ」


アゲハはそう言ったけど、包帯がまだ取れないのは知ってるよ。


「過程は置いておいて……結果だけ見ると…だけどね、、核があってアゲハが普通の生活を送れるなら、、、私は今のアゲハがいいなって思う」


「……確かにね。過程と人間じゃないのが大問題だけど」


「アゲハが何者でも…私は構わないんだけどね。アゲハの心臓のために働いてくれて、ありがとう」


そう言って服の上から核を撫でたら、アゲハが代わりに私の背中を撫ではじめた。


「空とエドガーだけだよ。コレに“ありがとう”なんて言う人は」


「そう?だって頑張ってくれてるから……ってかヤバイ。背中を撫でられると眠くなる」


アゲハが眠れない時とか辛そうな時。

あんまり意識しないで背中を撫でるというか擦っていたけど

これやばい。マジで眠いときにされると眠くなる。


「寝なよ、もう夜中」


「アゲハが寝るまで起きていたい……」


「俺もすぐ寝るよ。眠いから」



って、言葉と声があってないけどね。

声的には全く眠くなさそうだよ。




だけど、結局私が先に寝て

目が覚めたのはボソボソ話す話し声が聞こえてきたから。


ぼんやりと覚醒すると隣にいたアゲハは上体を起こしてて片手で私の頭を撫でていた。

少し明るくなった感じだから……朝だね。



「まぁ寝てないけど…昼寝するから大丈夫」


「やっぱり寝てねーのかよ……ったく、だったら部屋から出てこいよ」


「だって…空が寝てたから起こしちゃうし………それに、昨日は精神的に参っていたから一人でいた方が気楽だったし……」


「で、今日は?」


「今は平気……だけど、」


「寝て悪い夢見たら駄目になりそうだ……って所か?」


「さすがレオン。俺のことを理解しすぎてて怖いくらいだよ」


「お褒めにあずかり光栄だな。ってかどうせ寝てない理由もそれだろ?」



声で分かったけど、相手はレオン。


アゲハと寝る寝ないの話をずっとしているけど、アゲハは寝ないんじゃなくて寝るのが怖い。


分からない訳じゃないけど……なんでアゲハってすぐに一人で抱えこむんだろうね。


どうせなら、相談してほしかったなぁ、、、



「悪い夢見て魘されたなら俺が起こしてやるって。だから少し寝ろ。朝メシまであと1時間はある」


「……分かった。少し横になるよ」



今からアゲハが寝ようとしてて

もし、私が起きているって分かったらアゲハは寝ようとしないはず。


だから、寝たフリをしてやり過ごそうとしたら


「ソラ、いつからいるんだ?」


話題が私になった。



「夜中に来たよ。エドガーより早くね」


……エドガーも来たのか、、気づかなかったよ。


「ソラとお前って…付き合ってるのか?」


って、真面目なトーンで聞くからさ、私、、目が覚めちゃったよ、、、


「………そんな訳ないじゃん。俺って元は今にも死にそうな人で、今は人ですらない。健康な人間の空と俺じゃ、なにかと無理があるよ」


アゲハは自虐的に否定したけどさ

もし、アゲハが健康で普通の男の子だったら………


私とアゲハは今とは違った関係なのかな?



「アゲハが人かどうかは置いておいて……ソラはアゲハが好きなんじゃねーの?好きでもないヤツの部屋でこんなグースカ寝れねぇだろ、普通。身の危険とか考えるわ」


「それは……空と俺は小さい頃からの付き合いだからさ。俺が空に手を出すとか考えすらしないって」


「お前……普通、、女と男が同じベッドで寝ていたら……ムラッとしないの?ムラッと」


「俺はそういう目で空を見ないから。起きたとき俺が空の顔見れなくなるような事言わないでよ……」



黙って聞いていたけどさ

もう偉いこっちゃって感じだよ。



アゲハがね、私の事を女としては見ていないのは分かっているよ。


アゲハを見ていたら分かるもん。



……だけどちょっとだけ、、胸が痛くなったんだよ。


私はアゲハの特別にはなれない。


じゃあ、私の特別な人は……―――――?


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