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CASE11 心の中

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「しかし……必ずそうとは限らない」


ボスのお付きの一人が否定してきたけど…


ずいぶん前向きというか、バカなのか、、



「さっき見たから分かるでしょ?アゲハの立ち位置になれる人は生きれるかもしれないけど、新人類になる。新人類になれずに失敗作になるかもしれない。奴隷になるってそういう事でしょ?」


思わず私が口を挟んだら、お付きの人は黙っちゃった。


「アゲハにさ、出会った頃に聞かれたんだよ。『新人類も蟲も元は同じ人なのに、新人類と失敗作に分類されたら人じゃないから殺しても構わないって存在になるのはなんで?』って、『自分の大切な人が新人類になっても殺すの?』って聞かれたんだ。俺は答えられなかった……正直、自分の知り合いに新人類になったヤツはいないから、考えもしなかった」


レオンは周りを見ながら話していたけど

最後に視線をボスに移して真っ直ぐに見据えた。



「あんたは、、この町のボスとして仲間を守る責務がある。救済者の世界になれば、あんたを含めた全てが奴隷。町の奴らから新人類や失敗作にされる奴も出てくるだろう…そうなった人に刃を向けるのか?」


ボスは答えなかった。


それは、きっと、、

昔のレオンと同じなんだと私は思った。



自分には関係ないって思っていた事

目を背けていた事を突きつけられて答えられなかったんだと思う。



「俺たちはこの町との約束通り、水問題はどうにかする。解決したらそちらもアゲハがしたことは全て不問にする。それだけは必ず守ってもらう」


ギルバートさんはこれまで何度も言ってきた内容を改めて口にした。

ボスもその件については了解してくれて


それから、今後についての話が始まった。

流れで私も含めての会話になったけど、やっぱりこの世界の人はどこか他人任せな感じかしてならない。

ギルバートさんが「水問題を解決したら、維持していくのは町の務めだ」って言ったら難色を示されていたんだもん……。

どう考えって町の人が管理すべきなのに、、また困ったらレジスタンスが…的な事を言われてギルバートさんは猛反対していた。


「人助け集団じゃねぇから、俺たち」


レオンがトドメの一言をボスに言って、ボスは「町で“考える”」って解答で済まされた。


考えるってなんだよ…って感じだけど、、、

誰かがどうにかしてくれる精神をなんとかしてくれって感じ。



ボスたちとの話が終わってから、ギルバートさんが今いる部屋にレジスタンスの全員を呼んだ。


「アゲハに何があったかを、全員に話す……―――――」



ギルバートさんがそう口にしてからゆっくりと話始めた。


今までギルバートさんは誰にも詳しくは話していなかったみたいで、、、



ギルバートさんが話し終った頃には重たい空気が流れていた。
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